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政策のイノベーション転換が始まった…スタートアップへの投資が25%オフへ=シバタナオキ

新経連の提案が元に

そして今回、更に興味深いのが、今回の税制改革の元が、新経連の提案によるものだという点です。
※参考:2020年度税制改正に関する提言

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このスライドにある通り、新経連からの提案としては「出資額の50%を損金計上可能」とする提案がなされていました。

実際には50%ではなく25%になるわけですが、ここに書かれている新経連による提案が、ほぼそのまま実現されていると言っても過言ではありません。

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新経連は他にも、プロジェクト型のオープンイノベーションを促進するための税制改革も提案していましたが、こちらは「新規プロジェクトに費やした費用を税額控除する」という、かなりアグレッシブな内容になっており、まだ実現していません。

「マテリアル大国」日本を支えてきた「研究開発税制」

少し歴史の話をしたいと思いますが、これまでの日本ではいわゆる「研究開発減税」と呼ばれる減税が長く続いてきました。
※参考:研究開発税制の概要 経済産業省産業技術環境局 技術振興・大学連携推進課

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こちらは、研究開発に費やしたお金のうち、6~14%分を税額控除できるという、これもまたグローバルで見るとかなりアグレッシブな減税政策になっています。

今回発表されたスタートアップ投資減税は「所得控除」であるのに対し、研究開発減税は「税額控除」なので、いかにこの研究開発減税がアグレッシブな税制であるかをご理解頂けるのではないかと思います。

「所得控除」と「税額控除」は、言葉は似ているかもしれませんが全く違うので、違いが分からない方は是非検索してみて下さい。

・所得控除=所得が減る、結果的に「控除された分×(実効)税率」分しか減税とならない
・税額控除=税額そのものを減らせるので、「控除額全額」が減税になる

企業から見れば、研究開発に投資したお金の6%~14%が税額控除されるため、積極的に研究開発に投資をしていくインセンティブが非常に大きかったとも言えるわけです。

皆さんが利用しているスマートフォンの中に使われている部品の多くが日本製ですが、誤解を恐れずに極論を言うと、日本がこのようにマテリアル大国であり続けられた要因の一つは、この研究開発減税のおかげであるとも言えるのではないかと個人的には思っています。

グローバルに見ても、このように研究開発投資を積極的に優遇している国というのはあまりないかと思いますので、自動車や電子機器だけではなくその部品、特に精密部品において、日本が未だに世界トップであり続けられている、という事実を語るうえで、この政策を見逃すことはできません。

Next: 政府としての明確なイノベーション政策の転換の現れ

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