FRBの対応の予想と、ドル増発で生じるドル安
◎2020年の米国FRBは、株価を下げないために「年間で1兆ドルの国債買い」というQE4(量的緩和第4弾)の開始を迫られるでしょう。そのとき、海外からのドル債の売りの超過からドル安になると、大統領選挙の年の米国株にとっては、致命的になっていくでしょう。海外がドル債券(米国の国債、社債、株)をもつ米国には、ドル安は株価にとって危険です
(注)米国の対外負債を1/2に減らしたプラザ合意(1985年)のような、一挙のドル切り下げは、また別のことです。このときは、対米貿易が黒字だったドイツと日本が、外貨準備のドル売りで損をすることに協力したのです。
市場の売買で価格が決まる相場商品の株価(売買で動くリスク資産)は、価格が株に比べれば少ししか動かない債券(金利で動く安全資産)と違い、上がるか、下がるかです。1年間の波動が、直線で横ばいになることはない。下がる要素が少ない時は上がり、上がるための資金的な要素が少ないときは下げます。
【株ETFの買い】
米国FRBも、日銀のように、株ETFの買いに、乗り出すでしょうか。米国株が下がったときは、十分に考えることができます。
FRBが、直接に株ETFを買えば、米国株も、日本のように30%高い官製相場になります。しかし、時価総額が3800兆円と日本の6倍なので、株ETFの買いに必要な資金も、日銀の6倍(1年に36兆円)と大きい。2020年の米国株を支えるのは、FRBだけになりました。
(注)短期売買が多い米国株の1日売買額は大きいので、FRBが株価買い支えのため株ETFを買うとなると、「米国株も官製相場になった」と見た売りが増えて、下がる可能性もあります。株への官の関与をいとわない日本と違い、米国は「民間市場性」が強い国です。
●トランプ減税のあとの米国は、赤字の財政支出が拡大しているので、赤字国債をFRBが買い受けて、エコノミストの主流派が反対しているMMT(現代貨幣論)を実践することになっていくでしょう。
米国FRBは、なんとしても、リーマン危機以上の金融危機になる30%の株価下落は、避けなければならない。2020年に米国株が大きく下がる確率は60%以上と見ています。
FRBが、2020年にも、株価を下げないために、ドルの増刷とQE4(6年ぶりの量的緩和、第4弾)として再開した場合、増刷されたドルがドル安に向かうからです。ドル安とは、海外からの米国債、米国株、米国社債の売りです。
対外債務国である米国の株価は、ドル高(海外からのドル債の買い)で上がり、ドル安(海外からのドル債の売り)で下がるからです。
(注)対外債権国の日本は、円安で株価が上がり、円高で下がりますが、債務国の米国は逆です。
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『ビジネス知識源プレミアム:1ヶ月ビジネス書5冊を超える情報価値をe-Mailで』(2020年1月20日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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