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米株、日本株は妥当値なのか?日経225の予想PER15倍に込められた投資家の期待とは=吉田繁治

2020年の自社株買いは増えない

2011年から、米国株上昇の原動力になっていた自社株買い(2011年~18年で4兆ドル:440兆円)は、2018年がピークであり、8,000億ドル(88兆円)でした。2019年は、6,400億ドル(70兆円)に減っているでしょう(前半四半期の傾向からの推計)。20%の減少です。
※参考:米企業の自社株買い減速、下支え失う市場‐THE WALL STREET JOURNAL.(2019年8月22日公開)

2020年は、6,400億ドル(70兆円)以上の自社株買いがあることは、想定できません。自社株買いの原資だった社債発行(企業負債の増加)の過剰が生じているため減少するでしょう。発行が増える国債を買うために生じる米銀のドル不足と重なって、自社株買いの減少も米国株を下げる要素です。

物価上昇率(米国は2.44%:2018年)を引いた実質金利が、マイナスなっているなかで、米国企業の借入金が、GDPの上昇率を上回って増え続けてきました。これ以上企業負債が増えれば、デフォルトが増える限界点である15兆ドル(1,700兆円)超になっているからです(2019年)。企業負債の増加になる社債の新規発行による、自社買いは、増加の限界点に達しています。
※参考:FRB、米企業債務膨張を警戒 過去最大の15兆ドル‐日本経済新聞(2019年5月21日公開)

FRBによる、銀行システムへのドル供給

2019年12月には、FRBは「テクニカルな越年資金」と市場を煙に巻きながら、4,900億ドル(53兆円)の銀行保有国債・債券を買って、現金を供給しました。加えて、2020年の6月まで、毎月500億ドル(5.5兆円)の国債買いを続けることは、19年9月に明らかにしています。

しかし、トランプ財政(減税+軍事費と公的医療費・年金の増加+公共投資)から1.5兆ドル(165兆円)に新規発行が増える米国債に対し、FRBの資金供給の月500億ドル(年間6,000億ドルペース:66兆円)では、足りません。

2020年は、FRBが年間で1兆ドル以上の史上最大の「国債買いとドル供給(わが国の異次元緩和の最大が80兆円/年)」を行わないと、現金が国債に吸収されて、金融機関とヘッジファンドが株を買い増す原資が少なくなるでしょう。

【米国の金利は下げる】

FRBが、仮に年間1.2兆ドル(132兆円)の金融緩和(国債買いとドルの増発)を行うと、米国の短期金利も、現在の「1.50%~1.75%のFRBによる誘導ゾーン」から少なくとも1.0%には下がるでしょう。(注)トランプ大統領は、FRBに「パウエルの首をすげ変える」として供給している短期金利は、0%~0.5%です。

ドル国債の金利が1.0%に下がって、イールド(内外金利差)がなくなると問題になるのが、日本・中国・産油国・欧州からの、米国債の売りです。海外は、米国債の約40%の、737兆円のドル国債を持っています。海外から買ってきた金融機関には、「米国債の高い金利-自国の低い金利=プラスのイールド」が誘因になっていたからです

【イールドスプレッドの縮小】

米国債の金利と海外の金利差をイールドスプレッド(金利差)といいます。ドルとの金利差が1%から0.5%に向かって小さくなったとき、金利低下の過程では上がる米国債の、海外からの売りが増えないかという懸念です。(注)金利0.5%や1.0%に低くなった国債は、金利の上昇による国債価格下落のリスクが大きくなります。

海外は、米国債を6.7兆ドル(737兆円)もっています。日本が1.1兆ドル、中国が1.1兆ドル、英国が3340億ドル…です(19年12月)。
※参考:MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES

対外的な経常収支(貿易収支+所得収支)が構造的な赤字であるため、「数年の長期では」必然のドル安が予想される米国債を、海外が買ってきたのは、米国と2.5%金利差があるからでした。2.5%という超過金利の受け取りによって、米国債のドル安リスクを消していたのです。
(注)1年に2.5%のドル安を、米国の株、国債、社債を買うときのリスクと見ていたといっても同じです。

Next: 2020年はドル国債買いが見込めない…その背景とは?

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