米国の最上位株価の5社
米国の株価時価総額で、最上位の企業を示します。フェイスブックの5,750億ドル(63兆円)を除き、日本で1位のトヨタ(25兆円)の4倍の100兆円以上です(19年11月時点)。
懸案は、「世界中の過剰流動性」で上がってきたこれらの株価が高すぎるのか、妥当かの判断でしょう。
米国市場の80%の投資家は、妥当と判断しているでしょう。古来、バブルのなかでは、バブルとは認識されません。崩壊してはじめて、あの時はバブルだったわかると、データマニアだった元FRB議長のグリーンスパンも責任逃れとして述べています。
時価総額 予想PER 将来純益割引率(=益回り)
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Apple 1,1870億ドル 15.2倍 6.6% 妥当値から+50%
Microsoft 1,1540億ドル 31.8倍 3.1% 妥当値から+50%
Google 8990億ドル 30.8倍 3.2% 妥当値から+50%
Amazon 8620億ドル 82.8倍 1.2% 妥当値から+70%
Facebook 5750億ドル 24.8倍 4.0% 妥当値から-40%
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※参考:世界投資
(注)アップルは、2010年代から、積極的な自社株買いを続けて株数を減らし、1株当たり純益を増やすことにより、見かけ上のPER(株価÷1株当たり純益)を15.2倍に下げています。米国には、時価総額100兆円のIT企業が、4社もあります。Googleは社名ではアルファベットです。
【1990年代後半の米国IT株バブル】
5社の株価は、20年前のIT株バブル(ドットコム・バブル)に似ています。IT企業が多いナスダックは、Windows95の1995年から上がり始め、4年後の2000年3月には、5倍に達しました。
2000年4月からは、2001年の9.11をはさんで、2002年にかけ、ピークの5,048ポイントから77.9%下がり、1,114ポイント(22.1%)に下がったのです。「半値、八掛け、2割引き=0.5×0.8×0.8=0.32」以下でした。
上げた速度が速いほど(4年で5倍)、破産の恐怖に駆られた投資家の投げ売りで下がるときの底が深い。
定価のない株価は、物価と違い、「売り>買い」になった市場で売買が一致するところまで、下がります(米国株には、額面もありません)。このときは、下がるから売りが増えて一層下がるという理由づけになります。しかし、相場商品は底値で終了ではない。
低く行き過ぎる底値で買うと、利益は大きくなります。しかしこれは、およそ90%以上の投資家とメディアが、底なしの恐怖に駆られている時期に、独り、買い進むことです。
将来の計算と蛮勇(アニマルスピリット)が必要です。株価バブルの崩壊のときの底値の判断は、経験から見出された法則である経験則では、「半値・八掛け・二割引き=32%」付近でしょう。
2002年に、1,114ポイントに下げたナスダックが、2000年3月の5,000ポイントを回復したのは2015年です。08年のリーマン危機を挟んで、13年を要しています。
1989年までの日本の株価バブルの底値も日経平均で8,000円、ピークの3万8,900円から20%でした。PER(株価÷1株あたりの次期予想純益)が上がるときに経済合理性がない株価は、PERが下がるときも経済合理性はありません。