「携帯電話税」も「自然保護税」も検討に入っている
言うまでもないが、物価が上がったり消費税が上がったからと言って、それに合わせて賃金が上がるわけではない。現状維持がいいところで、下手すれば賃金は下がる。
消費増税は買い控えを引き起こして企業収益を悪化させるのだが、そんな中で賃金を上げるはずがない。
企業収益が悪化すると、企業はコスト削減に走る。コストで最も大きなものは人件費なので、当然、人を減らすか、給料を減らすかという選択になる。
大企業はともかく、経営にシビアな中小企業は景気が悪化したら給料アップなどあり得ないのだ。だから、中小企業で働く多くの低所得層は、今までギリギリでバランスを取っていたのが、一気に崩壊して生活破綻に突き進んでしまう。
消費税を上げるたびに日本の経済成長率は下がってきた。本来であれば、消費税は段階的に下げていくか、もしくは撤廃するのが日本のためになる。
しかし、政府は消費税を下げるだろうか。
下げるどころか「歳入が足りない」と言って、いずれはさらなる消費税のアップを強行する日がくる。
そして、消費税以外のありとあらゆる税金を考えていく。たとえば「携帯電話税」も「自然保護税」もすでに検討に入っている。
日本の経済成長は止まっている
気がつかなければならないのは、すでに日本は1990年のバブル崩壊以降、ずっと経済成長率が低下し続けており、ほとんど成長できていないことだ。
少子高齢化も放置され、消費税は引き上げられ、内需が戻らないのである。
その結果、日本企業も体力を失い、従業員を守れなくなってしまっている。すでに非正規雇用者が4割近くを占めるようになっているのだが、それに伴って終身雇用も年功序列も日本企業から消えていこうとしている。
契約社員、派遣、アルバイト、パート、フリーターのような不安定な働き方が普通になっていき、正社員は稀少品種となる。グローバル化とIT化が雇用を減らし、今後は人工知能のような技術革新でさらに雇用は消える。
アンダークラスはどんどん膨らんでいき、彼らが生活保護に頼るようにもなる。高齢層の増加によって社会保障費が膨らみ、内需の減少や企業への法人減税にアンダーグラウンドの増加は、より政府の財政を悪化させる。
だから日本政府と官僚は、とにかく国民から消費税で毟り取り、年金や生活保護は減らすような施策ばかりを打ち出すしかない。
そして「老後のために2000万円を用意しろ」と言い出しているのである。