高齢者世帯における生活保護受給者は89万7264世帯になった
生活保護は、受給者も不正受給も増えていることもあって、政府の施策としては安易に受給させないという方向になっている。
しかし、そんな政府の意向とは裏腹に、それでも生活保護の受給者がじわじわと増えている。それだけ追い詰められている人がたくさんいるということになる。
内訳を見ると、増えているのは高齢者世帯だ。
団塊の世代と言えば、年金をもらって悠々自適の優雅な生活を送るのだろうと思われて若年層から嫌われている。しかし、実態を見ると、それほど優雅でも何でもない。
2020年1月8日、高齢者世帯における生活保護受給者は89万7,264世帯となって、過去最高を記録したと厚生労働省は発表している。受給者の半分以上がいまや高齢者世帯が占めている。
しかも日本は高齢層がさらに増えていく。そしてその高齢層の貧困化はこれからが本番なので、生活保護受給者はもっと増えていくのは確実視されている。
ちなみにシングルマザーも同時に追い詰められている。
考えなければならないのは、消費増税も、年金の切り下げも、年金受給年齢の引き上げも、医療費の自己負担増も、アンダークラスを追いやる動きがじわじわと続いていることだ。
消費税「もっと引き上げるべき」という衝撃の提言
安倍政権は2015年は10月に予定していた消費税10%を阻止したのだが、自民党内部には増税論者は大勢いて、2019年10月には消費税を10%に引き上げてしまった。
それだけではない。10%に引き上げた消費税は「もっと引き上げるべきだ」という声が、もう出てきているのである。
資産も収入も十分にある世帯は、消費税が10%になったからと言って、それで生活が破綻するわけではない。確かに年収が多ければ取られる税金も多いのだが、取られてもまだアンダークラスの年収以上に残る。
資産は消費税の対象ではないので、安心して保有し、増やしていくことができる。
しかし、アンダークラスは、ただでさえ少ない手取りからさらに税金で毟り取られることになる。わずかな物価上昇や手取りの減少が致命傷になってしまう。生活が苦しいのではなくて、生活が成り立たなくなる。