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イノテック— IoT社会の到来を迎え、グループとしてのシナジーを追求する

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「エレクトロニクスビジネスを通じて、人々の生活を豊かで快適なものにし、『未来社会に貢献』する」を経営方針の一つに掲げているイノテック<9880>。2020年3月期決算では、売上高311億円と当初の予定を上回った。全体を牽引する同社の主力事業は、半導体の品質検査に欠かせない「テスター」の製造・販売だ。

IoT社会の到来は、取り扱うデータ量を大幅に増加させるため、半導体デバイスメーカーは各種データを記録・保存するフラッシュメモリーの生産体制を増強しているが、課題となっているのは、検査工程の精度・効率の向上だ。ここに、同社のビジネスチャンスがある。

1987年に設立された当初は、米国メーカーCadence社の半導体設計用ツール(EDA: Electronic Design Automation)の国内販売代理店であった。同製品は現在に至るまで同社の主力取扱商品である。その後は、自社製品の開発設計に力を入れ、商社からメーカーへの業態変換を図ろうとしてきた。
2000年にブラウザOSの会社であるACCESS社との合弁でアイティアクセスを設立。今回、大きく伸長した電子マネー決済システムの事業の原点がここにある。2002年には、半導体設計の三栄ハイテックスを子会社化、ソフトウェアの開発経験を着実に蓄積してきた。現在では、大手メーカーを複数、顧客に持つ。
2008年に東証二部、2011年には東証一部に指定替えとなって以降は、M&Aをテコにメーカーとしての実力をつけ、業容を着実に拡大してきた。中でも2014年のガイオ・テクノロジーと台湾の STAr Technologies, Inc.の子会社化は同社にとって大きな転機となったといえるだろう。前者は自動車関連分野への進出、後者は海外半導体メーカーへの販路拡大という意味で、同社の方向性を決定するものとなった。
ガイオ・テクノロジー社は、自動車のエレクトロニクス化、ネットワーク化の進展の中で、ブレーキやエンジンのシミュレーション検査の検証ソフトやサービスを、大手自動車メーカーおよび車載部品メーカーに提供する。
STAr Technologies社は、台湾、中国、韓国向けにテスターやプローブカードを販売している。当期も、信頼性テストシステムの販売が堅調だったことに加え、顧客ファウンドリ向けのプローブカード販売も伸長した。両社は営業利益面での連結決算への寄与が大きい。

「現在の中期経営計画においては何よりテストソリューション事業の成長に注力し、もう一段太い柱になることを目指します。その上で、さらにメーカー機能を強化し、自社製品のラインナップを拡大していきます。もう一つが海外市場の開拓です。IoT社会の到来を追い風に、各社それぞれが成長するステージからグループ内でのシナジーを追求するステージになったという認識で取り組んでいきます」と語る棚橋取締役の表情は自信に溢れていた。


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