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JR4社はいま買い時なのか? 年初来安値更新「割安」評価の裏に潜むリスク=栫井駿介

厳しくなる現状

さてこれまで各社ともに解説してきましたが、現在の状況に戻って成長が見込めるかという観点で見れば、やはりどの会社も厳しいということになってきます。

なぜなら人口が日本はここから減少していき、労働力人口もどんどん減少していく中で、顧客を増やすというのは厳しい状況となっているからです。

だからこそ多角化を進めてきたわけですが、この新型コロナを受けて、在宅勤務や出張を控えるといった動きがますます出てくるでしょうから、これまで頼りにしていたビジネス客ももはや鉄板ではなくなっているのではないかと想定されます。

この10年はどの会社も比較的業績は良かったのですが、それは何故なのかというと、景気が良くビジネス需要に支えられていたこと、あるいは外国人旅行客が増えたことによるインバウンド需要というのも間違いなくありました。

それらがホテル等にも波及しているわけです。

成長性は「東日本」が一番か

インバウンドはここ2、3年あるいはもっと長い期間厳しいかも知れませんし、ビジネス客も長期的に望めず、いったいどこで利益を出そうかということになると、もはや駅ナカ中心のビジネスをやっていくしかないと考えるわけです。

その観点で言えばJR西日本やJR九州などの人口動態が厳しいところは、駅ナカであっても開発できる余地のある、人口を抱える都市がそれほどありませんから、成長性は厳しいと考えられます。

成長性という観点で見れば東・西・九州で見ると、「JR東日本」が一番あるというのは間違いないと言えると思います。

リニアに賭ける「東海」は正念場

一方でJR東海に関しては今まで新幹線さえ走らせていれば儲かる会社でしたが、先程も説明したように、こちらもなかなか厳しい状況にあります。

そこでJR東海に関して鍵を握るのがリニアです。しかし、そのリニアもまた厳しい状況になっています。

そもそもビジネス需要が今後も見込めるかどうかわかりませんし、さらには静岡県の知事がリニアの建設に難色を示しています。

これで2027年開業予定となっていたのが後ろにずれ込むかもしれませんし、そうなるとJR東海は数兆円の投資を行って建設を始めていますが、それが経営の重荷になってしまうことが間違いありません。

各社とも老朽化で「設備投資」が必要

どの会社についても言えることですが、高度経済成長期の1960年代、70年代辺りで多くの鉄道が建設されています。

今これらの鉄道を使っているというところもありますが、建設されておよそ50年ほど経っています。

そろそろ各鉄道は寿命が近くなっていると言えます。

寿命が尽きる直前というのはもう減価償却が終わっていますので、会計的な利益はものすごく大きく出やすいです。

そのおかげでこの10年JR各社減価償却が少なくて、そこそこインバウンドなどもあって売り上げが伸びて、費用が減るということなので利益が増えてきて一見成長しているように見えますが、ここからはその逆回転が起こることが想定されます。

具体的は、老朽化した設備を更新しなければならないので、そこに多額のお金を投じなければいけなくなってしまいます。

最近では老朽化による事故が起きたということも出ていますし、また各所で地球温暖化による災害なども増えていて、これで突発的に巨額の費用が発生することもあります。

そういった観点で見ると、JRの利益は一時的で、利益が出やすい条件が揃っていただけです。今後のことを考えると、続けるのは難しいのではないかと考えられます。

Next: そこで見るべきなのが、キャッシュフローです。各社の状況を並べてみます――

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