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「大暴落は全値戻しさ!」何も疑わず株を買い漁る米ミレニアル世代の末路は?=藤井まり子

イールドカーブ・コントロールの「導入期待だけで」市場は様変わり

今のマーケットの強気派たちを支えているのは、一言で言えば、「パウエルFRBの9月の政策変更への期待」です。

この期待は、「パウエルFRBが、9月には金融政策の新たな枠組みを発表してYCC(イールドカーブ・コントロール)を導入。2%を超えるインフレを巻き起こすだろう」といった内容です。

さらに詳しく言い換えると、強気派たちは、パウエルFRBは9月15日~16日のFOMCで「YCC導入でさらなる金融緩和策を強化」「2%を上回るインフレ政策への容認」と、大きく政策変更するだろうと期待しているのです。

このさらなる金融緩和策の強化「YCC」への期待で、市場の「アメリカ国内の期待インフレ率」は徐々に上昇、目下のところ1.66%まで上昇しています。

これに伴い、ドルが下落する一方で、市場のボラティリティ(変動率)は低下、株価が値上がりしているのです。YCCの導入期待だけで、マーケットは様変わりしているのです。

ヘリマネが続く限り米経済も安泰か

強気派たちの中には、「S&P500はこのままじりじりと上昇を続けて、年内には4,000ポイントまで行く」とする人々さえも現れています。

個人的には、年内にS&P500が4,000ポイントというのは、 あり得ないわけではないけど、さすがに無理だと思います。せいぜい3,400ポイントあたりではないでしょうか?こればっかりは分かりませんが…。

一方、8月7日発表の「アメリカの7月の雇用統計(商務省)」は、意外や意外、マーケット予測を上回る「良好な内容」のものでした。雇用統計に先立って発表された「7月のアメリカのISM製造業景況指数とISM非製造業景況指数」も、大方の予測を上回って「良好な内容」でした。

これら7月の経済統計の数々は、「アメリカ財務省がヘリマネを継続している限りは(そのヘリマネをアメリカFRBが援護射撃している限りにおいては)、アメリカ経済は穏やかながらも回復を継続する」ことを、強く裏付ける内容だったのです。

「良い情報は、悪い情報」? 期待だけがひとり歩きしている

ところが、スーパー金融相場では「良い情報は、悪い情報」です。

アメリカ経済の回復が穏やかながらも底堅いならば、9月のパウエルFRBは「金融政策の新たな枠組み(=YCC)」導入を急がなくてもよくなるかもしれないのです。

そもそも論として、FRBが「YCCと2%を上回るインフレ目標」の導入などの「金融政策の新たな枠組み」を導入するのは、伝統的に、年始めの1月であるのがほぼ恒例となっています。

今年のYCC導入の場合も、どんなに早くても「12月の正確なスケジュール予告」の後、「YCC実施は年明けの1月」からというのが恒例のはず。

「9月のFOMCで、パウエルFRBが『YCCなどの新たな金融政策の枠組み』を導入するだろう」という期待は、あまりにも性急過ぎる「期待だけのひとり歩き」ではないでしょうか。

もし、9月FOMCで、パウエルFRB議長がこういった「強気派たちの性急すぎるハト派的期待」を裏切るようなことがあれば、9月のマーケットでは波乱が巻き起こることでしょう。

Next: 「バフェット指数」は近いうちの大幅調整を予告している

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