年金破綻が現実になる
経済状況悪化は、年金財政を逼迫することは必至で、昨年の財政検証から見れば最悪のシナリオが待っているではとも言われています。
年金財政は、経済成長や労働参加の程度に大きく左右されるということを、財政検証では報告しています。
経済成長や労働参加が高い水準で進めば、所得代替率は50%以上を維持できますが、経済成長や労働参加がある程度の水準にとどまれば、2040年代半ばには所得代替率は50%に達し、その後もマクロ経済スライドを続けると所得代替率は40%台半ばにまで低下してしまうと表現しています。
今問われているのはその次のシナリオとなる、さらに経済成長や労働参加が進まない場合が危惧されます。
その場合は、2052年度には国民年金の積立金が枯渇して完全賦課方式に移行することになりますが、その場合の所得代替率は36〜38%程度にまで低下することになるとの結果となっています。
要は、年金支給額はぐーんと減るということです。
日本経済の見通しは、今の状況では、決して明るいものは見えないようです。ここに来て、財政検証で語られている楽観バージョンは、完全に消えたでしょう。
このままでは(今までも言われてはいましたが)社会保障制度は存続できないと誰もが思っていることでしょう。
なぜ先が見えない年金制度が維持されている?
では、なぜ今まで、少子化が改善されず高齢者は増えるばかりなのに、制度が維持されてきたのでしょう。
日銀が国債を発行して、必死で支えていたからだと唱える専門家もいます。財務省発表の諸表では、日銀が一生懸命お金を流している先として、社会保障を維持するための費用として使われているのではとも言われています。日銀が、高齢者の年金を給付しているような構図です。
これはすでに、社会保障制度は破綻しているということにも繋がります。社会保障制度は、年金だけでなく医療も介護もあります。
今後、社会保障制度そのものを見直す議論は活発化し、そもそも保険制度で社会保障を維持することから税による制度維持、つまりはベーシックインカムの導入があるのではとも言われています。
ベーシックインカムに関しては、この情報誌でも取り上げましたが、国民全員に一定額を支給して、今の2階建てと言われる年金制度を廃止するものです。職業による年金制度の違いをなくし、生活保護などの給付も含めて一律、ベーシックインカムに統一するというものです。たしかに保険制度だと、保険料を支払えない人は、健康保険証を貰うことはできませんからね。ベーシックインカムに関しては、具体的に議論が始まっているわけではありません。
社会保障制度維持のために増税を主張しているようですが、もうすでに破綻状態であることは、疑ってかかったほうが良さそうですね…。。
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