突撃取材「家主の私がレオパレスを訴えた理由」集団訴訟はなぜ起きたか?=姫野秀喜

レオパレス21(以下「レオパレス」)でアパートを建築したオーナーで結成された「LPオーナー会」が中心となり、2016年11月25日、レオパレスを相手取った「集団訴訟」が始まりました(※「LP」はLong Peaceの略)。

テレビのCMでもお馴染みですが、レオパレスのアパートの特徴は、家具・家電付きであることです。入居者にとっては、テレビや冷蔵庫などの購入費用が抑えられるため、メリットの大きい仕組みと言えます。

実は今回、物件のオーナーらが起こした集団訴訟は、この「家具・家電」にまつわるものです。本稿では、今回の訴訟の中心となったLPオーナー会の前田和彦代表にお話を伺い、レオパレスの抱える構造的な問題点や、サブリース(物件の一括借り上げ・家賃保証)契約のリスクについて検証していきます。(『1億円大家さん姫ちゃん☆不動産ノウハウ』姫野秀喜)

プロフィール:姫野秀喜(ひめの ひでき)
姫屋不動産コンサルティング(株)代表。1978年生まれ、福岡市出身。九州大学経済学部卒。アクセンチュア(株)で売上3,000億円超え企業の会計・経営計画策定などコンサルティングに従事。合間の不動産投資で資産1億円を達成し独立。年間100件以上行う現地調査の情報と高い問題解決力で、顧客ごとに戦略策定から実行までを一貫してサポートしている。

「家賃保証は幻想だ」オーナーらが告発するレオパレスの罠とは

129名のオーナーが大結束!「レオパレス21集団訴訟」が始まった

通常、レオパレスのアパートオーナーは、「家具・家電総合メンテナンスサービス」(以下「レンタル契約」)を契約しています。

これは「家具・家電」をレオパレスからオーナーがレンタルする契約であり、レンタルした「家具・家電」は、レオパレス側の費用負担で定期的に(7~14年)新品に交換してもらえるという内容でした。

一見すると妥当な内容の契約ですが、そこに問題が潜んでいました。契約年数が経過しているにも関わらず、家具・家電が新品に交換されないケースがあるというのです。

何十年も使用できるアパート本体と異なり、家具・家電は5~10年くらいで買い換えるのが普通でしょう。物件の条件にもよりますが、家具・家電が新品か中古かで、客付けに大きな差が出ることは、不動産投資をやっていない人でも簡単に想像できると思います。

しかも、家具・家電が新品になっていないにも関わらず、オーナーは毎月一戸あたり2,000円のレンタル料を天引きされ続けているのです。

ちなみに、一般的な不動産の管理料は、賃料の5%程度(東京近辺)が相場です。家賃が50,000円なら2,500円、家賃が20,000なら1,000円くらいになります。家賃相場が高い都心エリアであれば問題ありませんが、家賃が安いエリアで、毎月一戸あたり2,000円のレンタル料を支払い続けると、手取りはかなり減少することが想像できます。

LPオーナー会代表の前田和彦氏は、2014年8月から2015年4月にかけて、契約の年数を経過した家具・家電について新品に交換するようレオパレスに要請しましたが、その回答は期待した内容ではなかったと言います。

レオパレス側の回答(分かりやすく要約しています)は、

  • 家電は入退去に合わせ交換する」(2014年10月回答)
  • ベッド・テレビ台の入れ替え予定はない」(2015年5月回答)
  • 今後破損した場合は(レオパレス側で)補修・再設置をするので、(レンタル料の)返金は応じかねる」(2015年5月回答)

というものでした。

そのため前田氏を含む多くのオーナーが、2015年12月と2016年6月の二度にわたり、家賃からレンタル料として天引きされた金額分の「未払い請求」を行いました。それでもレオパレス側からの回答が変わらなかったため、集団訴訟に踏み切ったのです。

今回、LPオーナー会のメンバーを中心に129名(請求総額は約4億8,684万)が一致団結しての集団訴訟となったことで、同様の問題に頭を痛めているオーナーが他にも多数いるであろう実態が浮き彫りになったと言えます。

「レオパレスファンだった」前田氏が裏切られ、戦いを決意した最初の事件

それまでレオパレスを信じていた前田氏が、なぜ、LPオーナー会を立ち上げ戦おうと決意したのか、そのきっかけは意外なものでした。

「LPオーナー会は、今回のレンタル契約ではなく、別の問題がきっかけとなって発足しました。それは太陽光発電です」

もともとはレオパレスのシステムを好意的に見ていて、営業に来るレオパレス社員との人間関係も良好だったと語る前田氏。かつては、レオパレスが発行するオーナー向け雑誌『クラスL』に掲載されるほどの信頼関係があったと言います。

しかし、前田氏が所有するアパートに太陽光発電を取り付けるための「見積もり」がきっかけとなり、その信頼関係は崩れていきました。ことの発端は、レオパレスの見積もりが、市価の5割くらい高いものであったことに始まります。

自身も建築設備士の資格を持つ前田氏は、太陽光発電設備の原価を知っているため、レオパレスの見積もりを「ちょっと高すぎる」と考えました。

前田氏「レオパレスは我々など恐るるに足らず、と高をくくっていたのかもしれません」※左は筆者

前田氏「レオパレスは我々など恐るるに足らず、と高をくくっていたのかもしれません」※左は筆者

しかし、レオパレスのことを好意的に見ていた前田氏は、できることならその業績にも貢献したいという思いで、太陽光発電の値引き交渉ではなく、補助金を使った工事費の削減を試みます。

「この補助金を受ける条件は、母子家庭や身体障害者など、入居が困難な方や困っている方への賃貸募集をすること。コスト削減のみならず、社会貢献にもなると考えました」

当時、前田氏のアパートには対象となる空室が6室ほどあったため、この6室分をもって困っている方への賃貸募集と補助金の申請を行おうとしたのです。

ところがその矢先、これまでずっと空室だった6室すべてで突然、入居者が決まってしまいます。空室がなくなったため(本来であれば喜ばしいことですが)、補助金の申請もできなくなりました。

そこで、困った前田氏は地元の業者をあたります。何とか安く工事してもらえないかと依頼したところ、ついに納得のいく価格を提示する工務店を見つけることができました。そのまま、その工務店に工事を発注してもよかったのですが、それでも前田氏はレオパレス側の営業業績にこだわり、レオパレス経由で工事を発注することを考えました。

具体的には、地元の業者にお願いして、

オーナーレオパレス地元業者アパート工事実施

という形で、レオパレスのためのマージンを100万円ほど上乗せして工事を行いたいと申し出たのです。

ところがなんと、この申し出はレオパレスから断られてしまいます。同時に、突然入居が決まった6室の住人も3ヶ月で退去し、また空室になってしまいました。

レオパレス側責任者H部長との対話

それでも諦めない前田氏は、レオパレスへの熱い想いを伝えるため、レオパレス側責任者のH部長との対話を申し出ます。しかし残念なことに、この対話が新たな軋轢を生むことになるのです。

前田氏は、H部長の予定に合わせわざわざ出向いて行ったその席で、「大量発注できるはずの大手(レオパレス)の太陽光発電が市価の5割も高いのはなぜか」と質問をぶつけましたが、レオパレスは取り合わず、ただ「工事費が高いんだ」と居直りの姿勢でした。

前田氏は、度重なるレオパレス側の対応に業を煮やし、LPオーナー会を立ち上げることを決意したと言います。2013年11月1日の夜から約2日間、徹夜でLPオーナー会のホームページを作成し、責任者H部長と再度対話を行いました。

しかしそれでも責任者のH部長は、前田氏に対して表面上の謝罪をするのみで、太陽光発電について誠意のある回答はありませんでした。LPオーナー会のホームページを示し、オーナー側が結束して戦う意思を見せても「やれるものならやってみろ」という態度。

前田氏は激怒します。

「オーナーの多くは高齢でインターネットに疎いため、レオパレス側は、LPオーナー会のホームページなど恐るるに足らず、と高をくくっていたのかもしれません」

反撃

インターネットでホームページを見ることができないオーナーに、直接訴えるにはどうすればよいだろうか?前田氏はその方策を考え、地道にそして迅速に活動を開始します。

まずはレオパレス物件の住所から、法務局登記情報を調べ上げました。その数なんと2万3000棟。同時に、LPオーナー会のパンフレットを作成し、日本全国のオーナーにそれを送付しました。

登記情報自体は法務局(オンライン申請も可)で誰でも調べることが可能ですが、1件あたり300円ほどの費用がかかります。登記情報調査の費用、パンフレットの印刷代、発送費用等、これらの活動により前田氏の退職金はほとんどなくなってしまったと言いますから、相当の出費です。

このように前田氏がたった1人で身銭を切って始動したLPオーナー会は、2014年1月に正式発足。日本全国で今年7月までに61回の説明セミナーを実施し、今では多くのオーナーから支持されるに至りました。

そして全国のレオパレスオーナーから前田氏のもとに、様々な問題点が寄せられはじめたのです。

Next: 全国から悲鳴殺到! レオパレスオーナー「7つの悪夢」

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