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間違いを犯すアルゴリズム。今の株式投資AIはなぜ「人間くさい」のか?=房広治

市場での人工知能やロボットの影響力は日に日に増しているが、有事の際の値動きを見るにつけ、人間を超えたとは言い難い。人と同じミスを繰り返している。(『房広治の「Nothing to lose! 失う物は何も無い。」』房広治)

※本記事は有料メルマガ『房広治の「Nothing to lose! 失う物は何も無い。」』2017年9月13日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。当月配信済みのバックナンバーもすぐ読めます。

プロフィール:房広治(ふさこうじ)
アメリカ、イギリス、香港など主要金融センターで著名な日本人投資家。留学中に外資系銀行に就職し、わずか10年で日本のインベストメントバンキングのトップに。投資家転向初年度に年率リターン90%以上の運用成績を出し、ファンドマネジャー・オブ・ザ・イヤーとなる。

AIの影響力が増す証券市場、だが人間を超えるのはまだまだ先?

「おかしなこと」が起こりはじめた

1997年は、世界の証券市場が段々と、大手ファンドやインベストメントバンクによる影響を受けやすくなっていく初期の段階であった。

2000年代になり、コンピューターの性能やインターネットの容量が増え、約200人のトレーダーがコンピューターを使って、世界の株式市場や為替市場に影響を及ぼすようになった。

2005年、私がヘッジファンドを立ち上げた時には、Bandwidth、インターネットと取引所の回線の速さが問題となり始めた。例えば、オックスフォード大学の数学の博士号をとった人間を何人も雇って、ニュースを6,000ほどの変数に分解してコンピューターに入力し、それがどのように世界主要都市で上場されている株価に影響を与えるかを分析するのが流行ったりしていた。

現在は、世界で約2,000台のロボットと呼ばれるようになったコンピューターが、高速売買をするようになった。

ここで、おかしなことが起こっている。

北朝鮮が水爆を搭載できるミサイルを日本の上空を飛ばしたら、107円台まで円高になったのだ。そして、しばらくして現在は110円(※執筆時点:9月13日現在)になっている。

これには、ロボットたちも人間と同じ間違いをするのかという疑問が起こる。すなわち、もし、人間よりも優れた人工知能というものが開発されているとすれば、為替の動きも、「なるほど」と思うような動きになるのではないのだろうか?

つまり、結局は「学習するようになった」と言っているAIは、人間と同じような間違いをしながら、学んでいくということではないだろうか。

AIが人間に勝てないこと

AIが人間に勝てない部分が1つある。それは、自ら「興味を持つ」能力である。AIは性格を持ち合わせていないし、持つことができるのかも解明できてないのだ。

グーグルの研究者は「2045年には人間の脳を超えるAIが誕生する」と言うが、その根拠は薄弱である。これは、ある意味宗教と同じだ。誰も証明できない予言なのである。

宇宙のビッグバンセオリーが理論でなく、お話であるのと似ている。天才であるアインシュタインが賛成したので、正しいはずだと多くの人間が信じたビッグバン。結局、ビッグバン以前はどうなっていたのかの説明がないと、単なる空想でしかない。

宇宙の外側はどうなっているのか? 何も存在しないって、どういうことか? 人間ならば、どんどん質問が湧いてくる。これが、AIにはない、人間のすごさなのである。

私の現在の仮説は、人間の脳の働きの90%ぐらいを解明できるようになって初めて、AIが本格化するというものである。脳の解明がまだまだの現在、「2045年に人間を超える」と言っても、それは当たる可能性が少しだけある予言でしかないのだ。

Next: コンピューターには理解できない「あの会社」のすごい可能性

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