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「世界の終わり」に本気で備え始めたシリコンバレーのIT長者たち

レディット(Reddit)のハフマンCEOは、迫りつつある災厄に備えています。それは地震、核戦争、パンデミックではなく「米国の大規模な崩壊」です。自然災害ではないのです。(『カレイドスコープのメルマガ』)

※本記事は、『カレイドスコープのメルマガ』 2017年2月2日第193号パート1の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

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あの有名企業創設者まで…彼らはどんな災厄に備えているのか?

ビル・ゲイツの「核シェルター」

ドナルド・トランプが大統領選に勝利したことによって、新自由主義の富裕なエリート層の間では、未来の不確実性について議論する人々が増えました。

彼らは、現在の世界情勢を緊急事態であると認識しているようです。

金持ちのエリートほど、実は懐疑的で用心深く、そして、空想的です。この傾向は、軍産複合体に取り込まれたシリコンバレーの人々において、特に顕著です。

もともとシリコンバレーの中には、黙示録的なシナリオを信じており、その準備に膨大な時間と労力、そしてコストをかけることを厭わない若手IT長者が多数いることで知られています。

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軽井沢の山の上に、地上1階、地下3階の堅牢な巨大建造物を建てたビル・ゲイツも、そのひとりです。この建造物の地上部分の外観は別荘ですが、地下は広大な核シェルターのような造りになっているという話も。

米国の高級誌『ニューヨーカー』の2017年1月30日版には、「スーパーリッチにとっての最後の審判の日への備え」と題する長い記事が掲載されています。執筆者のエヴァン・オズノス(Evan Osnos)は、“文明の崩壊に備えている”これらの富裕層をプロファイリングする仕事をしてきました。

Reddit共同設立者 スティーブ・ハフマンの場合

彼がインタビューした人々の中のひとりは、レディット(Reddit)の若い共同設立者でCEOのスティーブ・ハフマン(Steve Huffman:33歳)でした。

サンフランシスコ在住のスティーブ・ハフマンは、大きな青い目、薄茶色の髪、落ち着きのないいかにも好奇心旺盛な態度の、やや落ち着きのない雰囲気を持っています。

バージニア大学では、ダンス競技の花形でした。また、彼はルームメイトのウェブサイトにハッキングするなど、悪戯が好きな男です。

スティーブ・ハフマンは、彼が信じている迫りつつある災厄に「備えて」います。

彼が集中しているのは、サンアンドレアス断層の地震、核戦争、パンデミックというよりは、米国政府の特殊な構造が生み出す「大規模な崩壊」です。自然災害ではないのです。

ハフマンは言います。「私は2、3台のオートバイをもっている。たくさんの銃と弾薬もある。それに、豊富な食物も。これだけあれば、ある程度の期間は家にこもることができる」

シリコンバレーのエリートの半数が「保険」をかけている

『ニューヨーカー』の記事によると、ハフマン曰く、シリコンバレーで成功した彼のエリートの友人のうち、半分以上が、「最後の審判の日」のために、何らかの「保険」をかけているとのこと。

「保険」とは、ビル・ゲイツのように他国に隠れ家を造ったり、あるいは農地や自家発電システムを建設したり、大規模な経済災害と戦争が一度に襲ってきたとしても、ある程度は快適に避難生活が送れるように準備しているということです。

こうしたサバイバル生活のノウハウを持ち、未曽有の大災害に備えている人々をプレッパー(prepper)と呼んでいます。彼らは、全米で300万にとも400万人とも言われています。それは、このようなライフスタイルを実践している人々です。

1月23日の『ビジネス・インサイダー』によれば、ハフマンは「最後の審判の日」を生き抜くことができるように、2015年11月にレーザー眼科手術を受けたようです。理由は、「世界の終わりがやってきたとき、コンタクトレンズやメガネを手に入れることは困難になるだろうから」というものです。

ハフマンは、世界最大規模のソーシャル・ニュースサイトと掲示板「レディット(Reddit)」を立ち上げた人間として、それが大衆の中に恐怖をどれだけ広げてしまうのか痛いほど理解しています。

大衆が、ソーシャル・メディアの中でつながったとき、パニックなるのは避けられない」とハフマンは言います。

例のピザゲイト事件で逮捕されたエドガー・ウェルチ容疑者が、その典型だと言います。

ピザゲイトは、ウィキリークス(WikiLeaks)」が11月初めに暴露したメールが発端となり、ハフマンのソーシャル・メディア「Reddit」や、ネット掲示板「4chan」などを介して広まった情報(デマとされている)を鵜呑みにしてしまった米国のオルタナ右翼(alt-right)が、ワシントンD.C.のピザ店「コメット・ピンポン」に銃を持って押し入った事件です。

ウィキリークスが大統領選の直前、ヒラリーを支援する5万通に及ぶ民主党のメールを公開したところ、その中にピザ店「コメット・ピンポン」のオーナーであるアレファンティス氏の名前があったというのが、犯行の動機です。

そのメールの中には、ヒラリーが私用メールアドレスを使ってやりとりしていた大量のメールが含まれており、ワシントン・ポストによれば、「ヒラリーと小児性愛者グループとの関連」をうかがわせる内容が多数出てきた、とのことです。

トランプ政権で国家安全保障担当の大統領補佐官に任命されたマイケル・フリンが、大統領選の投票日前の11月3日に、「判断は自己自身で、ニューヨーク市警がヒラリー氏のメールをマネーロンダリングや児童性犯罪で告発……必見!」とツイートしたことも、騒動を大きくした原因のひとつになりました。

その様子を見ていたハフマンは、「いとも簡単にデマを生成し、人々をパニックに陥れることができる」と愕然としたのです。

ニューズウィークその他の米国の主流メディアは、これを「デマ」「フェイク・ニュース」と報じていますが、とはいえ、現実に、毎年多数の幼児が誘拐されたり失踪しており、そのたびにCIA首謀者説が流されてきたことも事実です。

また、キュレーション・サイトのバズフィード(Buzzfeed)によれば、「特にシリコンバレーとニューヨークでは、政治的な異なった立場の人々が次々と裕福になっており、想定し得る終わりの日に備えている」ということです。バズフィードの記事は、どういうわけか、すぐに削除されてしまいました。

ハフマンは、トランプが大統領になったことで、サバイバルのいっそうの準備を進めていると明言してはいないものの、多くのアメリカ人が、そのようにしようとしています。

Next: 「最後の審判の日」に備えニュージーランドの土地を買い漁るIT長者たち

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