ビットコイン投資がギャンブルよりもタチが悪いといえる決定的な理由=矢口新

仮想通貨を巡るトラブルが絶えない。FX取引が個人に開放されたばかりの頃にも預けた資金が戻らないなどのトラブルはあったが、仮想通貨の場合はもっと深刻だ。(『相場はあなたの夢をかなえる ―有料版―』矢口新)

※本記事は、矢口新氏のメルマガ『相場はあなたの夢をかなえる ―有料版―』2018年1月30日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:矢口新(やぐちあらた)
1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。アストリー&ピアス(東京)、野村證券(東京・ニューヨーク)、ソロモン・ブラザーズ(東京)、スイス・ユニオン銀行(東京)、ノムラ・バンク・インターナショナル(ロンドン)にて為替・債券ディーラー、機関投資家セールスとして活躍。現役プロディーラー座右の書として支持され続けるベストセラー『実践・生き残りのディーリング』など著書多数。

誰が何を信じている? ギャンブルとも呼べないビットコイン投資

通貨の価値とは何か

仮想通貨を巡るトラブルが絶えない。

FX取引が個人に開放されたばかりの頃にも、預けた資金が返ってこないなどというトラブルがあったが、今回はもっと深刻だ。なぜなら、FXは取引商品そのものには問題がなく、不心得な業者がいたことだけが問題だったからだ。一方で、仮想通貨取引には問題が山積みだ。

まずは、通貨の価値とは何かを考えて見よう。

私は、通貨の価値の本質は「流動性」だと見ている。流動性とは、不自由なく使えることと言い換えてもいい。国は自国通貨の流動性を保証している。

例えば、日本の飲食店で飲食し、顧客が日本円での支払いを望んだ時、飲食店が受け取りを拒絶し、無銭飲食だとして警察に突き出すことはできない。

ところが、顧客が日本円以外での支払いを望んだ時、飲食店は拒絶することができる。例えば、外貨や商品券、着ていた衣類などの物はもちろんのこと、クレジットカードでの支払いさえ、拒絶する場合がある。この場合は、日本円現金以外には流動性がないことを意味する。

仮想通貨に本質的な価値がない

この点で、仮想通貨の流動性は、ほぼゼロだ。つまり、本質的な価値がない。

自国政府を信用しないという人は多いが、それでも、こうした自国通貨の「恩恵」は誰でもが得ている。これは、歴史的には当然のことではない。現在の通貨制度は、ほぼすべての人々が実際上信用することにより、成り立っている。

一方で、仮想通貨を「通貨」として扱っている人々は、通貨の価値を知らないか、あるいは、自己欺瞞を行っているかのどちらかだ。

仮想通貨は投資・投機対象か?はたまた博打か?

では、投資または投機物件なのだろうか?

投資や投機では、それを行う合理的な判断が必要だ。例えば、利回りが目的で債券投資を行う場合、その利回りが「確実に」手に入るという合理的な根拠が必要だ。期待した利回りが手に入らない場合は、不測の事態により、非合理な状態が生じた時だけだ。時間制限のある投機でも、その時間内にリターンが得られるという、合理的な判断が結果を左右する。

投資や投機では、合理的な判断が背景にあるために、「勝てる人」と「負ける人」に分けられることになる。

では、単なる博打か? 上げるか下げるか二者択一の博打に、合理的な判断は使えない。とはいえ、合理的な「賭場」であるかの判断は必要だ。

公営ギャンブルやカジノでは、掛け金が返らないのは、負けた時だけだ。賭けに勝てば、期待した比率通りのリターンが得られることになっている。

つまり、公営ギャンブルやカジノの胴元は、それだけの信用力を積み上げてきたのだ。また、八百長は禁止されており、行われているにしても、ゲームそのものを壊さない、常識的に許される範囲内に留まっている。

投資や投機、博打のどれもが、上記の様に参加者に何らかの合理的な判断を要求する。行きずりの人から、投資や投機、賭けの「おいしい話」を持ち込まれても、信じて「お金を渡す」人はほとんどいない。

Next: 投資家は、仮想通貨の「何を」信じているのか?

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