偶然か?密約か?安倍政権の支持率アップをアシストする北朝鮮の謎=不破利晴

安倍政権と北朝鮮の思惑は一致している

1月6日に突如として行われた北朝鮮による核実験は、北朝鮮政府当局によると「水爆実験」であったことが発表され、実際の信憑性と共にアメリカと韓国による戦略爆撃機B52の低空飛行といった北朝鮮へのけん制飛行が物議を醸している。

確かに北朝鮮による核実験は言語道断の行為であるのは言うまでもなく、同時に米韓による威嚇飛行は国際法が禁じる軍事威嚇・過剰防衛に該当する。

それでもさらに踏み込んで、このことで最も得をしているのは一体誰かを考える時、それは実は安倍首相であることに気がつく。

安倍首相が集団的自衛権を言い出した時、彼がお気に入りのパネルを使っていかにこの法制が必要なのかを訴えたことを思い出して欲しい。

このパネルを見るとアメリカ艦船や他国を攻撃する「攻撃国」とは、誰が見ても北朝鮮を指しているのは明白だ。そして、このパネルを出発点として集団的自衛権を基軸とした安保法制へと、状況が一気になだれ込むことになる。

昨年はこの安保法制反対のデモが日本の各地で行われており、実際に安倍政権の支持率も下降基調にあった。これで北朝鮮が核開発をめぐる六者会談に応じるなどの柔軟な姿勢を見せれば、安倍首相が唱える集団的自衛権の正当性は一気に消滅することになったであろう。

ところが、実際は北朝鮮が安倍政権の動向とタイミングを計るかのように、年明け早々に4回目の核実験を強行し、「やっぱ、安保法制は必要じゃね?」的な空気が醸成されつつあるように思われる。

北朝鮮の核実験と安倍政権の動向は不思議な関係性がある。

北朝鮮が3回目の核実験を行った2013年2月12日、当時はどのようなことが取り沙汰されていたかと言えば、やはり集団的自衛権なのである。

2012年12月26日に発足した第2次安倍内閣が集団的自衛権を主張するようになったのは、実はこの頃であったことに注目して欲しいのだ。

2012年10月31日、当時自民党総裁であった安倍晋三氏は、臨時国会衆議院本会議の代表質問で、「集団的自衛権の行使を可能とすることによって、日米同盟は、より対等となり、強化され」ると、憲法解釈の見直しを求めた。その後、衆院選で大勝し、内閣総理大臣に就任した安倍氏は、2013年1月13日に放送されたNHKのテレビ番組で、「集団的自衛権行使の(憲法解釈)見直しは安倍政権の大きな方針の一つ」と述べた。日米両政府は、有事の際の自衛隊と米軍の協力の在り方を定めた「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)を見直す作業に着手し、我が国の集団的自衛権に関する議論も反映しながら進めていく方針とされる。

そして2013年2月8日、「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(以下「安保法制懇」という。)が約5年ぶりに再開された。安保法制懇は、2008年に政府の憲法解釈を変更し集団的自衛権の行使を認めるよう求める報告書を政府に提出したが、今回は安倍首相が前回の検討事項に加え、自民党が衆院選の公約に掲げた国家安全保障基本法(2012年7月6日に自民党総務会でその概要が決定。)の制定など、新たな課題についても検討するよう諮問した。年内に首相への報告書をまとめる方針とされている。

出典:集団的自衛権の行使容認に反対する決議 – 日本弁護士連合会

<2013年2月頃>

→安倍首相が「集団的自衛権」を言い出す
→日本中に反対の声が起こる
→北朝鮮が核実験を行う
→日本の関心が北朝鮮に向かう

<2016年1月頃>

→安倍首相が安保法制を決めてしまう
→依然、日本中に反対の声は根強い
→北朝鮮が核実験を行う
→日本の関心が北朝鮮に向かう

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