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日本が知るべき「新型コロナの恩恵」いま本当に必要な経済対策とは何か=矢口新

本書の主題は、社会保障費の財源とされる消費増税が、増税による景気の悪化を通じて、社会保障費をかえって増やしてきたこと。一方で、財源となる総税収を減らしてきたこと。これが財政の巨大な累積赤字や、膨大な公的債務の主因になってきたと指摘することだ。

さらには景気の悪化を通じて企業の競争力を低下させ、労働環境を悪化させ、貧富格差の拡大につながったとも見ている。

またそうして悪化した景気を刺激するため、副作用の弊害が甚大なマイナス金利政策や、将来的な国の信用を失墜させる通貨の乱発、財政ファイナンス、中央銀行による民間企業の株式保有などにつながり、日本の金融政策が機能を失ったことも指摘している。

私自身が63枚もの図表を分析して得た結論は、税制1つで国が栄えも滅びもするということだ。日本は1989年度から「税収増が見込めない税制」に変えた。これが上記に挙げた15の課題の大半を作ってきたことを、図表データをもとに解説する。

このことは税制さえ高度成長期、バブル期のようなものに戻せば、まともに経済成長する日本に戻すことができることを強く示唆している。具体的には消費税の撤廃と、所得税の累進課税率の拡大、法人税率の引上げだ。こうして、税収が増える税制に戻すことなしには、日本の社会保障制度は崩壊してしまうのだ。

社会保障制度の維持は他人事ではない。誰もが将来は年金の受給者となる。健康保険は今でも使っている。誰も失業保険の世話にならないとは断言できない。仮にそうした給付の対象となることがなくても、現時点で誰もが社会保険料を支払っており、今のままでは保険料の値上がりは避けられないのだ。

本書が、読者の方々の日本の制度を理解する手助けとなれることを願っている。

<目次>

・まえがき:税収増が見込めない税制
第一章:日本を破壊した税制
1. 税率を上げても増えない税収
2. 消費税収と、成長率、所得税収、法人税収はトレードオフ
3. 消費税は経済成長を止めた
4. アベノミクスによる成長率はほぼゼロ
5. いざなみ景気の税収面での貢献はネガティブ
6. 世界経済のミラクルは、日本から中国に変わった
7. アベノミクス、真の成果は?
8. 雇用形態の変容
9. 世界から乖離していく日本の実質賃金
10. 名目賃金のターニングポイントも消費増税と一致
11. 1997年から資金供給量は11.2倍
12. 日銀は「物価しか見ていない」
13. 銀行の預貸ギャップが290兆円に
14. マイナス金利政策の導入
15. アベノミクスは金利市場を破壊した
16. 民間から政府への所得移転
17. 物価の推移
18. 消費増税でディスインフレに
19. 消費税では社会保障費を賄えない
20. 借金頼みの財政
21. 消費税導入は法人税率引下げとセット
22. 法人税率引下げで得たもの
23. 赤字企業も急増
24. 消費税は売上から天引き
25. 所得税
26. 個人住民税
27. One For All, All For Oneの虚実
28. 格下げ
29. 膨らむ公的債務残高
30. ギリシャやイタリアは緊縮財政
31. 日本は113カ国中、113位
32. 純債務残高でみると?

第二章:つくられた貧富格差拡大
33. つくられた貧富格差拡大
34. 貧富格差の拡大は止められる!
35. 日本の税収推移
36. 日本の税収構造
37. デンマークの税収推移
38. デンマークの税収構造
39. スウェーデンの税収推移
40. スウェーデンの税収構造
41. OECD内32カ国の政府支出
42. 日本、デンマーク、スウェーデンの財政収支の推移
43. 主要国の所得税率の推移
44. 世界の法人税率の推移
45. 財政黒字の国は一握り

第三章:崩壊前夜の社会保障制度
46. 日本の公的社会保障支出
47. 社会保障費の内訳と財源
48. 高齢者の年金依存度
49. 国民健康保険
50. 1人当たり医療費
51. 政府の教育支出
52. 社会保障関係費の推移
53. 国民負担率の推移
54. ダイヤモンドになったピラミッド
55. 日本人の死亡原因
56. 厚生労働省の見積もり

・あとがき:衰退から繁栄へ

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相場はあなたの夢をかなえる ー有料版ー』(2021年1月5日号)より一部抜粋、再構成
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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