日本のフェミニズムを牽引してきた社会学者で東京大学名誉教授を務める上野千鶴子氏が、「平等に貧しくなろう」という主張をする傍らで、自分自身はかなり裕福な生活をしているとネット上で指摘され、一種の炎上状態となっている。
若者に平等に貧しくなれといってる上野千鶴子は、外車を乗り回してる団塊金持ちだということは、もっと知られるべき。自分は高度成長期の繁栄を享受しておきながら、下の世代には繁栄を与えず、裕福な自分の生活は手放さない。その上で、上から目線で貧困になれと平然と言う。吐き気を催す邪悪だ。 pic.twitter.com/beLNJaeq3A
— 高村武義 #WalkAway (@tk_takamura) January 18, 2021
上野千鶴子氏の情熱大陸で一番印象に残ったのはすごいタワマンの景色と素敵な別荘でした。万国の労働者は等しく貧しくなりなさい。 pic.twitter.com/Nv3OI6YXbu
— ぷろっぷ (@PropTrader88) January 18, 2021
今回の炎上のきっかけとなった2つのツイートでは、上野氏が外車であるBMWを愛車にしているとの記事、さらに彼女が眺望良好なタワーマンションで日頃は暮らすいっぽうで、別荘にも行き来しているという、過去に出演したテレビ番組での一コマを取り上げ、その自身の主張と実際の暮らしぶりがまったく矛盾している、としている。
1月18日に相次いで投稿されたこれらのツイートは、ほぼ丸一日で1.5万件のリツイート、3.3万件のいいねを集めるなど、人々の注目を集めている。さらに「言うことが詐欺的で悪質」「まずは文化住宅に引っ越して中古車に乗り換えてから言え」といった批判意見から「ブルジョワ左翼」「赤い貴族」といったタダの悪口雑言まで、様々な声が入り乱れる事態となっている。
まず、タワーマンションから2Kの文化住宅に引っ越して貰って、オープンカーの外車をwagon-Rの中古に乗り換えたら話しを聞こう。
聞くだけね。— TAKE????大和撫子隊勝手応援支隊301SQ? (@ZtA8QNUj46sWNVI) January 18, 2021
上野千鶴子氏「日本国民は平等に貧しくなろう」だって。
さすが共産主義者は言うことが詐欺的で悪質ね。この人の理想的とする共産社会は支配者と多く奴隷で成り立つ。
人民から自由と財産を奪い、一部の支配者だけ巨万の富を持つ社会が共産主義社会。 pic.twitter.com/bRT31EBBo7— 城之内みな? (@7Znv478Zu8TnSWj) January 19, 2021
それって資本主義も同じじゃん
今の資本主義社会の格差とかもはやフィクショナルでさえあるわけだが(その上で、上野千鶴子は共産主義者でもなんでもなく、舌先だけの「社会学者」に過ぎない。まさに正しく「ブルジョワ左翼」を体現している人物と言える)
— 愛野❤️無職中退多浪留年美大生 (@sub_mitama) January 18, 2021
炎上の元ネタが古く「なぜ今さら?」という意見も
いま現在も、その炎上の勢いはとどまるところを知らない今回の件だが、そのいっぽうで「なんで今さら炎上している?」といった声も少なくはない。
上野千鶴子の「みんなで平等に貧乏」思想と彼女のブルジョア性は以前から問題視され続けてるわけだけど、何で今頃再炎上してるんだろ
— T S K ? (@DM1MT) January 18, 2021
上野千鶴子が外車大好きなの、知られてなかったのか。彼女は昔から有名な赤い貴族ですよ。内田樹も同様
— 智に働けば角が立つ@在宅勤務は終わった (@Julien_Sorel_) January 19, 2021
というのも、今回取沙汰される形となった「平等に貧しくなろう」発言やタワマン暮らしなどのネタ。その初出を調べてみると、まず「平等に貧しくなろう」発言は2017年の2月11日、建国記念の日の東京新聞に掲載されたものが元ネタのようだ。上野氏は“今後の日本という国のかたちを問う”という趣旨のインタビューにて、日本は人口減少と衰退を引き受けるしかないという主張のなかで、「どう犠牲者を出さずに軟着陸するか。日本の場合、みんな平等に、緩やかに貧しくなっていけばいい」と語っている。
いっぽう、タワーマンションでの優雅な暮らしぶりは、2019年6月に放映されたTBS系列のテレビ番組『情熱大陸』で紹介されたもので、さらに愛車のBMWが紹介されている記事は、2006年頃に読売新聞で取り上げられたもの。つまり「平等に貧しくなろう」発言は4年近く前で、タワマン暮らしは約1年半前、愛車のBMWに至っては15年以上も前の話とあって、いくらなんでもソースが古すぎて、確かになぜ今さら炎上したのかが不思議なぐらいだ。
ちなみに「愛車がBMW」の件だが、クルマ好きの間では「BMWでもZ4はそんなに高価じゃない」という意見も。また、先述の『情熱大陸』でもこのBMWに乗っていたという話もあり、だとすれば15年以上も乗り続けているということで、これは「外車を乗り回す」といったイメージからはちょっと離れたものになってくる。
上野千鶴子のみんなで貧しくなろうって発言は賛成できないが、BMW Z4に乗ってることまで非難されるのは違うだろうと思う。写真では、2.2だったからZ4の1番下のグレードで、新車でもクラウンより安いぐらいだったんでは。https://t.co/SsOmRBbxKL
— sI/\"田l†N (@sSiIdDaAdDaA) January 18, 2021
上野千鶴子の「平等に貧しく」が非難轟々なのはまぁわかるが、それに伴い型落ちBMW Z4をさも高級外車に乗り回してるが如く宣ってる人が居るのはさすがに草。
しかも一昨年の情熱大陸出演時にも乗ってたんでしょ?物持ちもいいじゃん。15~6年前の車だぞ。今じゃ100万円の価値もないわ。
— しょうじょうじ (@ikiha_4141) January 18, 2021
「団塊叩き」要素が炎上を加速させた?
このように、ネタの鮮度的には賞味期限切れながらも、ここまでの炎上となったのは、今回取り上げられた発言とその実態の姿が、まさに「逃げ切りに成功した団塊世代」の縮図、象徴的な姿として捉えられたことが大きいようだ。ネット上でもいわゆる「団塊叩き」と絡んだ批判意見が目立ち、さらに「菅首相もこの世代」といった声もあがる。
上野千鶴子の「平等に貧しくなろう」が再び炎上している件。団塊世代の裕福な文化人がこの様な思考に陥るのは、《かつてアジア諸国に迷惑をかけた日本が他国を差し置いて豊かになるのだけは許されない》という贖罪意識も背景にあるだろう。それを自分より貧しい大衆をも巻き添えにするから批判される。
— 井上リサ (@JPN_LISA) January 18, 2021
上野千鶴子や内田樹は右肩上がりの高度成長期で豊かさを享受し、競争が激しい中、景気と関係ない安定した職に就いた団塊エリートは、デフレで更に「豊か」になっているから、デフレ経済下のエリート以外の若者世代・労働者・困窮者の苦労が想像できないのだと思う。
— ミロ (@mir0_) January 18, 2021
若者は等しく貧乏になれとか言った大学の先生。
まさに団塊世代はエゴイズムに溢れてる事を簡単に証明してしまった感がある。団塊世代がごっそり居なくなれば少しは経済事情も良くなると感じてしまう。
— HIRO@(ひろ@) (@HIRO_CR75101) January 19, 2021
ただ「上野千鶴子の意見=団塊の世代の意見ではないだろ」といった声も多く、「世代間分断を煽るのはちょっと違うんでないかな」といった冷静な意見も。さらに「上野千鶴子が金持ちなのは単に上野の甲斐性であって団塊だからじゃないぞ」といった、上野氏の金持ちぶりを擁護する声も少なくない。
3年前の記事をなぜ持ち出したのか知らんが、上野千鶴子の意見=団塊の世代の意見ではないだろ。 https://t.co/4DRAALqoKm
— mold (@lautream) January 18, 2021
上野千鶴子さんの『等しく貧しくなれ』と主張する新聞記事を批判する
ツイートが流れてきたこれ自体には同意する
が
関係ないTV番組のスクショで
彼女のタワマンとか別荘の画像まで引っ張り出して
これだから金持ち団塊世代は駄目なんだ
と世代間分断を煽るのは
ちょっと違うんでないかな— 蓮井ノエル®︎ (@noel_hasui) January 18, 2021
上野千鶴子が金持ちなのは単に上野の甲斐性であって団塊だからじゃないぞ。お前が金持ってないのはお前の甲斐性であって団塊じゃないからじゃないぞ。その怨嗟はちょっと哀れっぽい
— まんりき (@manriki) January 18, 2021
そのいっぽうで、事の功罪はともかく「上野千鶴子は人をイラつかせることにかけては天才的」という、ある意味での彼女の実力を評価する意見も。「団塊叩き」「世代間対立」という要素もさることながら、やはり彼女の潜在的なアンチの多さも今回の炎上に繋がったようだ。
上野千鶴子関係の話題はもう数年前からぐるぐる回ってるし、去年や一昨年もにもRTしたことあるけど、団塊の身勝手さを端的に表現する資料として目にする度にRTしなきゃという思いに駆りたてさせるところはホントにすごい。ここまで人を苛立たせるノウハウを書籍化したくなるくらい
— えび (@ebicchi) January 18, 2021
このように議論は紛糾するばかりの今回の件だが、上野千鶴子氏のツイッターを見ると、更新自体は頻繁にしているようだが、この件に関してはまったくのノーリアクション。当然、上野氏自身が反応する謂れは無いのだが、口の悪いネット住民からは「これも逃げ切り狙いか」という声も聞こえてきそうだ。
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