先行指標は予想以上に改善!強い雇用統計に対する期待も
先行指標は全体的に大きく改善しました。ワクチン接種が開始されたことや、一部飲食店などの制限が緩和されたことが追い風となったと指摘されています。
民間の雇用報告であるADPリサーチ・インスティテュートにおける雇用者数が+17.4万人と予想の+4.9万人を大きく上回ったほか、ISM(全米供給管理協会)の発表した非製造業の雇用指数も前回を大きく上回りました。
製造業に対して、非製造業の回復は相当遅れているというのが懸念として挙げられていましたが、それを覆す格好となっています。
これらを受け、一部では今夜発表される非農業部門雇用者数の伸びは+20万人を超えるのではといった声もあり、ハードルが上がっている点には少し注意したいところでしょう。
どう転んでも今はドル高か?
FRBの2大責務は物価の安定と雇用の最大化ですから、非農業部門雇用者数が+30万人を超えてくるようだと、雇用の改善を理由にテーパリング(緩和縮小)が意識され、株安にもつながりかねないだけに警戒が必要でしょう。
また、雇用が回復しているとすれば、1.9兆ドルという巨額の追加経済対策にも疑義が生じかねず、これも期待感で上昇してきた株価への悪影響となりかねません。
今は景気回復からの株高、さらに米長期金利(10年債利回り)上昇もドル買いの原動力となっているだけに、なかなか悩ましいところでしょう。
もっとも、ドルの視点で見れば、財政赤字拡大回避という解釈でドル高にも繋がるだけに、どちらに転んでもややドル高的な傾向は否めない感があります。
強めの先行指標からの景気回復で株高・ドル高・金利高というトリプル高になっていた経緯があるだけに、非農業部門雇用者数は+10~20万人前後のまずまず良い結果というのが一番無難というか、ドル円の上昇に繋がりやすいでしょう。