入口はいろいろ。依存症になりやすい性格や環境もある
依存症になりやすい性格や、なりやすい環境もあるという。
子供の頃に、不安定な家庭環境にあった人、何らかの虐待に遭った人、極度の不安の中で暮らしていた人が、依存症になりやすいようだ。
ただし、そういった環境の人がすべて依存症になるわけではない。生活環境や考え方も大きな影響がある。
とても恵まれた環境で育ってきた人でも、成人してからの何らかの挫折やショックが、急激に依存症を引き起こすことも珍しくない。
どんな環境の人であってもアルコール依存に落ちることがある。そして、依存症になってしまう原因は、個人個人で違う。
バーに勤める女性や、接待が日常になっている営業マンなど、職業柄アルコールと深く関わって、そのままアルコール依存になってしまう人もいるし、人生のどこかで激しい精神的ショックを受けて挫折してしまったり、心が折れてしまったことを契機にアルコール依存に落ちることもある。
入口はいろいろだ。
しかし、いったんアルコール依存になると、いろんなものがうまく回らなくなり、身近にいた人も近寄らなくなるというのが依存者全員の共通した経験となる。
「いつでも止められる」それはすでに手遅れ
依存に落ちると、自分に対する失意が積み重なっていく。まわりの信頼も失い、喪失感も消えなくなる。その喪失感から逃れるために、アルコールに頼らざるを得なくなる。不安やストレスを感じた時、常にアルコールに逃げるようになっていく。
それが繰り返されるうちにやがて依存が強まっていき、最後には逃れられなくなるのである。
最初は、本人は自分が依存症であると気がつかない。認めることもない。誰かに指摘されるとムキになって否定し、絶対に自分は依存症ではないと言い張る。
アルコール依存に落ちた人は、誰が見てもその人がアルコール依存だと分かっているのに、本人だけは違うと言い張る。
「自分はまだ大丈夫」
「やめようと思えばいつでも止められる」
まわりが指摘しても本人だけが必死で否定している時は、すでに手遅れである可能性が高い。
それでも依存から抜けようとしない。また、本当に手遅れになったと本人が気付いても、やはりそこで止めるという選択肢を選ばない。
「どうせ止められないから、もういいんだ」
「どうせ人間は死ぬんだから、もういいんだ」
そうやって最後の最後まで自滅の道を突き進み、本当に人生が破綻するところまでいく。人生の最後の瞬間まで、自分を破滅させたものを止めない人も多い。
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