サムスン電子の半導体は、台湾のTSMCよりかなり遅れている
現在、サムスン電子の稼ぎ頭は2つある。1つは「半導体」、2つ目は「スマホ」だ。
これを順に見ていくと、まずは2021年1月~3月の半導体事業は、売上高19兆100億ウォン(約1兆8,500億円)、営業利益3兆3,700億ウォンとなった。しかし、営業利益は前年同期で16%減少した。
これについては半導体の生産が米国の寒波による影響で1ヶ月以上ストップしていたこともある。しかし、要因はこれだけではないと日経新聞は報じている。つまり、台湾のTSMCが独走状態で、サムスン電子はもう容易に追いつけないほど差が開いているのだ。
ロイターによると、TSMCの第1四半期決算は、純利益が1,397億台湾ドル(49億3,000万ドル)となり19.4%増加したそうだ。サムスン電子の営業利益は16%減少しているにもかかわらず、TSMCは2割増加。
これによって、どちらが勢いがあるかはすぐにわかるだろう。そして、追いつくには半導体の設備投資が何よりも重要だが、これもサムスン電子は後れを取っている。
TSMCは今年初め、280億ドル(約3兆600億円)の投資計画を表明して、今後、3年間に1,000億ドルの追加投資をすると発表。一方、サムスン電子は2030年までに133兆ウォン(約12兆9,000億円)を投資をすると発表していた。
すでに投資金額だけで圧倒的な差があるわけだ。1年で3兆円ずつ投資するTSMCがバケモノ過ぎるとも言える。
サムスン電子がいくら巨大な企業であって、他の事業で利益を上げても、TSMCは半導体一本に絞って事業を展開しているため追い抜けない。例えるなら、サムスン電子は同じ鍛冶屋であっても、刀も作れば、包丁やナイフも作るという状態だ。それに対してTSMCは、同じ鍛冶屋でも「刀」しか作らない刀職人みたいなものだ。そうすることで半導体でより高みを目指せる。
このようにサムスンが半導体でトップを目指すにも、TSMCが独走しているので難しい。