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自分や家族が「大地震に遭遇する確率」を計算する方法=吉田繁治

活断層型地震の発生確率

岩盤の中の活断層は、日本全国で2000か所です。政府は、それぞれの活断層での、向こう30年以内での地震の発生確率を公開しています。ただし、この発生確率は、0〜6%や、6〜11%のように、大きな幅のあるものです。果たして予測と言えるかどうか、疑うくらいのレベルです。

ただし、これしかないので、主要な活断層のものを掲載します(2014年1月時点)。いずれも、今後30年以内の発生確率です(政府データより)。馴染みのない地名が並んでいますが、行政区画とは無関係な地下の断層帯名ですから、仕方がありません。それぞれの地元の人には、その地名からわかるはずです。(参考リンク:全国地震動予測地図 – 地震本部

地域ごとの地震活動(断層別30年以内の地震発生確率と規模)

(1)北海道
・サロベツ断層帯 M7.6程度 4%以下
・黒松内低地断層帯 M7.3程度 2%〜5%以下

(2)東北
・庄内平野東縁断層帯 M6.9程度 0%〜6%
・新庄盆地断層帯 M7.1程度 5%以下
・山形盆地断層帯 M7.3程度 0.003%〜8%
・櫛山山脈断層帯 M8程度 0.3%〜5%

(3)北陸〜中部
・砺波平野断層帯・呉羽山断層帯 M7.0程度 0.04%〜6%
・高田平野断層帯 M7.2程度 0%〜8%
・阿寺断層帯 M6.9程度 6%〜11%
・十日町断層帯 M7.4程度 3%以上
・森本・富樫断層帯 M7.2程度 2%〜8%
・高山・大原断層帯 M7.2程度 0%〜5%
・糸魚川・静岡断層帯 M8程度 14%
・境峠・神谷断層帯 M7.6程度 0.02%〜13%
・木曽山脈西縁断層帯 M7.5程度 ほぼ0%

(4)関東から東海
・三浦半島断層帯 M6.6以上 6〜11%
・神縄・国府津-松田断層帯 M7.5程度 0.2%〜16%
・富士川河口断層帯 M8.0程度 10〜18%

(5)関西
・奈良盆地東縁断層帯 M7.4程度 0%〜5%
・上町断層帯 M7.5程度 2%〜3%
・中央構造線断層帯 M6.9程度 0%〜5%
・六甲・淡路島断層帯 M7.3程度 0.02%〜8%(※阪神・淡路大震災)

(6)中国地方から九州
・安芸灘断層帯 M7.0程度 0.1%〜10%
・周防灘断層帯 M7.6程度 2%〜4%
・日奈久(ひなぐ)断層 M7.3程度 0%〜16%(※熊本地震)
・警固断層帯 M7.2程度 0.3%〜6%
・別府、万年山(はねやま)断層帯 M6.7程度 2%〜4%(※熊本地震)
・雲仙断層帯 M7程度 2%〜4%

六甲淡路島断層帯ではM7.3程度で、30年間で0.02%〜8%の発生確率とされていますが、阪神・淡路大震災が1995年に起こっています。日奈久(ひなぐ)断層ではM7.3程度で、0%〜16%の発生確率ですが、今回の熊本地震が起こっています。

30年で16%の発生確率は、1年では〔16%÷30年=0.53%〕ということではありません。30年の一度の発生確率を1年に直すには、以下の計算をします。

1年に起こる確率をAとして、「30年間で1回も起こらない確率」は以下の方程式。

(1-A)の30乗=1-0.16

この方程式を解いて、

1-A=(1-0.16)の1/30乗=0.9942
A=1-0.9942=0.58%

向こう30年に16%の確率でM7.3級の地震が起こる場合、1年では0.58%です。確率はとても低く見えます。これが内陸に起こる活断層型の地震です。70年に1回、80年に1回、あるいは200年に1回と言われる理由です。

熊本地震は200年に1回の確率程度だったでしょう。一か所では200年に1回でも、活断層が全国に2000か所もあれば、1年に10回です。ここまでは多くない。そうすると全国の活断層で平均は、1000年や2000年に1回程度の確率になるでしょう。それでも、活断層型の地震は、起こります。

古来、「災害は忘れたころにやってくる」と言われますが、まさにそれです。

Next: 大地震に遭う確率を、他の自然災害や事故との比較で理解する

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