深さ30km以内で起こる活断層型の地震(今回の熊本地震)
活断層とは、プレートの中に割れ目(断層という)部分があり、その断層が移動しているものです。移動により岩盤が圧縮され、押し合う力で活断層の割れ目にズレが起こって、エネルギーが溜まり臨界点に達すると、ある日突然、跳ね上がる。これが内陸型の地震であり、活断層型です。
活断層型の地震は、深さ30km以内と浅いところで起こり、直下型の地震になります。東北地方太平洋沖地震(2011年)は海溝型でした。今回の熊本地震は活断層型です。阪神淡路大震災(1995年)も、活断層型でした。
3つの活断層に及ぶ地震「熊本地震」
・日奈久(ひなぐ)断層:
阿蘇の外輪山から、芦北町を経て海側の八代南海部に至る活断層(長さ81km)
・布田川(ふたがわ)断層:
南阿蘇村から益城町を経て宇土半島の先端に至る活断層(長さ64km)
・別府・万年山(はねやま)断層:
布田川断層から北東の別府市に至る活断層層
最初(4月14日)は日奈久と布田川断層帯でM6.5の地震(前震)が起こっています。16日の未明には、M7.3の「本震」が起こり、南阿蘇村の大被害をもたらしました。
一瞬、気象庁のごまかしにも思えた前震、本震の区分は、素人が初めて接するものでした。さらにこれが、別府・万年山(はねやま)断層帯にも、玉突き現象のように拡大してきたのです。
かつてない「余震」の多さと大きさ
今回の大きな特徴は、4月17日の夕刻までに起こったという(人体が感知できる)460回の余震の多さと大きさです。理由はまだわかっていません。
九州を右上から斜めに横切るように、北東(別府)部から、阿蘇を経て、南西部(八代南海)に伸びる活断層に多くが起こっています。ドローンからの写真では、断層が、27kmにわたり3.5mもズレています。「右横ズレ断層型」の地震とみられています。道路にも、切断されたように1.2mずれているところがあります。
今後の問題は、地層のズレで生じるエネルギーが、近くの活断層に影響を及ぼすかどうかです。
今後、布田川(ふたがわ)断層と日奈久(ひなぐ)断層の南西に延びた八代市とその周辺での地震が、長く続くことを示すのではないかという専門家がいます。ただし、海溝型である南海トラフのプレート移動への波及はないだろうと、別の専門家は発言しています。四国の沖である南海トラフの南端の岩盤とは、相当に距離があるので大丈夫に思えます。
4月18日朝現在は、死者42名、不明10名、避難者11万人とされてはいますが、満杯になっている避難所に入れず、駐車場の車に寝ている人も多い状況です。建物の中は倒壊の危険があるので、すぐ逃げることができるよう、ロビーや軒下に座り込み、横になっているたくさんの人が目につきます。20万人以上の避難と見られており、地震と被害は「現在進行形」です。
道路網の切断が、生活物資の支援を拒んでいます。260店のコンビニが閉店し、建物の被害がなく開店している食品スーパーの棚からは、水と食品が消えています。政府は90万食分の緊急食糧を調達し、自治体の配送所に送るという。余震というレベルを超えた強い揺れがいつ収まるのか、気象庁も、地震専門家も、未だに予測できていません。