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家からテレビが無くなる日。団塊世代が最後の砦、2040年には「砂嵐」も映らない=今市太郎

10代・20代が独立世帯になるとき、すでに家にテレビは無くなる

足元で星野源さんと新垣結衣さんが結婚したことから話題になった、4年半前にオンエアされたTBSドラマ「逃げ恥」。昨年の今頃、緊急事態宣言の発令で新たなドラマの撮影がスタックした時期に再放送をしたものの非常に視聴率が良く、とくに若者の個人視聴率を稼いだことで大変に注目されました。

ただ、こうした状況は昨年の都市封鎖・自宅雪隠詰めという極めて特殊な状況下で現象的に発生したものに過ぎず、若者のテレビ離れは完全に定着化していることが窺われます。

この先、こうした若者たちが独立した世帯となった場合には、「そもそも自宅にテレビがない」といったことは普通になります。

過去にラジオがたどったようなデバイスレスの時代が到来するのは時間の問題で、スマホでみられない地上波の同報配信のビジネスモデルは、もはや機能しないところにさしかかっていることを強く感じさせられます。

団塊の世代と共にテレビ放送は消滅か

1998年にスタートした小渕政権は、大規模な公共投資政策のひとつとして「地上波デジタル」を掲げ、2011年までにすべての地上波放送をデジタル化することを推進しました。

確かに当時は、インターネットのブロードバンドを使って大量の世帯の放送受信をネットで実現することには、相当な障害があったことは事実。しかし、この時点でテレビを完全にネットによるデジタル化としていれば、足もとのような地上波放送の凋落は防げた可能性は高かったはず。

今になって、過去の自民党内閣はまったく先見の明がなかったことが明らかになっています。

前述の通り、民放の地上波を支えているのは、広告主にとっては可処分所得が少なく消費にまったく貢献しない高齢者ばかり。それも団塊の世代が先々消滅することになれば、世帯視聴率を大きく崩すことになりかねません。

やがて来る団塊世代の消滅は、まさに地上波テレビのビジネスモデルの終焉を示唆しているといえる状況です。

存続の鍵は、DX(デジタルトランスフォーメーション)を実現できるかどうか

今のところ民放地上波各局は、電波による放送を終焉させる動きは見せていません。

完全にネットだけの配信へとシフトした場合には、グーグルがYouTube上でかなり前から行っているターゲット毎の広告配信が現実のものとなるため、より広告主が求めるターゲット顧客を適格に把握して、同じコンテンツでも様々な視聴者に別の広告配信を可能にさせることになり
ます。

なぜこれを強力に推進しないのか。かなり疑問が残るところです。

どうもレガシーな放送局の幹部は、電波利用の放送配信から撤退することに相当な抵抗感を感じている様子。

放送広告の莫大な恩恵に預かってきた電通や博報堂などの大手代理店がなぜこうしたDX(デジタルトランスフォーメーション)の動きに積極的に手を貸そうとしないのかも、不思議な状況のひとつです。

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