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大塚家具「上場廃止」は当然の結末。お家騒動より深刻な3つの欠陥をヤマダは克服するか?=栫井駿介

世間を騒がせた「お家騒動」

大塚家具といえば、もともとメーカー直接仕入れというような形で、家具を仕入れて、そして当時としては比較的安目の価格で販売して、それを百貨店なんかを中心に売るということで一世を風靡しました。バブルもあって1990年代にかけては大きく業績を伸ばしました。

そして2009年、社長の勝久氏の娘である大塚久美子氏が社長に就任しました。この時は、勝久氏としても娘ですから、非常に期待を込めて就任したと思います。

ところが、この久美子氏はもともと経営コンサルとして働いていたということから、いろいろと勝久氏が行っていた経営方法の改革を行おうとしました。

大塚家具は会員制で、積極的に店員が接客をして高いものを買ってもらうといったスタイルを取っていたのですが、久美子氏としてはそれが現代のスタイルに合わないということで、もっと入りやすくポップな雰囲気にしようとしました。すると勝久氏は怒ってしまって、俺のやり方を否定するのかというような形で対立が起こります。

そして2014年、久美子氏は、社長を解任されて平の取締役になってしまいます。また当時会長となっていた勝久氏は、社長も兼務するというような形になりました。

その後、久美子氏は今度は株主を巻き込んで、勝久氏に対抗しようとしました。

結果、株主をうまく言いくるめた久美子氏が議決権の争奪戦に勝って社長に復帰。その後、勝久氏は退任するということになりました。

久美子氏は社長に復帰して、そこからまた大塚家具を経営していくわけですけれども、先ほど業績を示しました通り、2015年に就任してからというもの、そこから衰退の勢いが止まらなくなってしまいました。

見事に右肩下がりということになります。

いよいよお金も尽きてしまって、貸し会議室のTKPからお金を入れてもらったりしたのですが、それでも結局は立ち直ることができずに、2019年にはヤマダ電機の子会社なるわけです。

当初は子会社になっても社長に残ったままだったのですが、202012月に辞任を申し入れて久美子社長も退任するというような形になりました。

そしてこの9月にヤマダ電機による完全子会社化が行われて、上場廃止になるというような経緯になっています。

お家騒動がなくても衰退していた

こうやってみると、お家騒動が大塚家具衰退の原因だったように見えるのですが、(もちろんそれが引き金を引いたことは確かなのですが)私は必ずしもそれだけが原因だとは思っていません。

何故なら、大塚家具の立ち位置というのは、非常に厳しいところにあったからです。

大塚家具が失敗した要因としては、3つ挙げさせていただきます。

1. 中途半端な立ち位置
2. リストラの遅れ
3. 経営者としての覚悟の無さ

それぞれ、何が起こったのかを解説していきます。

Next: 普通の家具屋になってしまえば勝ち目なし。どこで間違えた?

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