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半導体戦争に敗れた日本、なぜここまで弱体化?唯一の武器「製造装置」に活路はあるか。自民半導体議連の無策課題=原彰宏

世界的半導体不足の現状

いま、世界的に半導体が不足している状況です。新型コロナウイルス感染者拡大により、テレワークが勧められ、それによるパソコンやスマホの需要が高まり、生産が追いつかない状況になっています。

さらに、不要不急の外出自粛により、ゲーム機の需要の増えています。自動車の需要も伸びています。

ビットコインのマイニングマシーンの需要が伸びていることも、影響しているのではないかとも言われています。マイニングは、高性能なPCを使って24時間稼働させているので、半導体はフル稼働している状態です。暗号通貨という要素が、こんなところにも影響しているのは驚きですね。

半導体は、PCをやスマホだけでなく、自動車や家電でも使われていて、現在、トヨタや日産、ダイハツの工場が、半導体供給が間に合わず、一時停止している状態だそうです。

洗濯機やエアコンなどの家電製品製造も、今後できなくなる恐れがあると指摘されています。

日本の半導体工場が火災で停止

日本の半導体を作っているルネサスエレクトロニクスの工場が火災にあったことの影響も、大きいようです。ルネサスエレクトロニクスは、主に自動車向けの半導体を扱っている会社で、今回の火事によって生産が停止しました。今年3月のことです。

当メルマガでは、この火災のニュースを受け、経済安全保障の関係者が動いたことを取り上げました(2021年5月17日号)。

3月19日、夜の2時27分、主力製品を生産する生産棟で半導体にメッキを施す装置から火災が発生。半導体製造カ過程において、火の気のものはあるとは思えない状況で「過電流」が火災の原因とされています。

警察によれば、本来なら火災時にはブレーカーが落ちることになっていたのに作動しなかったとのことです。先端技術を扱う工場であれば、デジタル制御装置で生産ラインなどはコントロールされているのではないか。ネットが繋がっていれば、すべてサイバー攻撃の対象になります。半導体は、すべての産業や安全保障の面で根幹となる重要な部分であることから、このようなサイバーテロ疑惑のような話が出てくるのだと思われます。

現在は世界中で半導体の供給不足、そこに米中半導体摩擦が勃発、G7において、中国の世界進出に対する危機感が共有されました。

話はそれましたが、半導体という「産業の“米”」が供給不足であるという事実は、押さえておきましょう。

なぜ日本は半導体分野でこんなに弱くなったのか

日本はもともと半導体には強かった。半導体を語るうえで、郷愁とも思えるこの話がよく出てきます。

1990年代、日本の優秀な技術は、海外に出ていきました。半導体の技術は、台湾に流出していったのです。韓国のサムスンが急成長したのは、関西の優秀な技術者が、国内では飯が食えないので、土日バイトで韓国に渡って技術提供したからだとも言われています。噂レベルの話ですが、信憑性は高いと思いますね。

1990年代は、日本はバブル崩壊の経済どん底状態でした。日本からの大量技術放出。これは日本政府が、技術に対して無策だったのか、そもそも技術を蔑ろ(ないがしろ)にしてきたのか、そのような風潮が見て取れます。

技術革新にお金をかけてこなかった「ツケ」のような気もします。

とにかく産業においても何にしても、「日本には長期ビジョンが無い」とずっと言われてきました。

バブル崩壊時の技術放出は、もう取り返しのつかないことになっているのでしょう。産業を育てるという風土の無さかもしれませんね。

Next: 日本はどう戦う?背水の陣で挑む経産省の戦略は

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