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高速道路“無料化”の約束は反故に。混雑時に値上げするロードプライシング本格導入検討に批判噴出「五輪のどさくさに紛れて」との声

有料の高速道路に関して、混雑時に料金を値上げする「ロードプライシング」の本格導入を国土交通省が検討していることが判明し、ドライバーから様々な反応が飛び交っている。

報道によると、ロードプライシングに関しては大都市圏の渋滞区間において、時間帯や曜日を区切って導入し、混雑状況に応じて機動的に料金を変えることを想定しているとのこと。具体的な区間などは検討中だが、中央道の小仏トンネル付近や東京湾アクアラインなど混雑が目立つ箇所で、2022年度以降に試行する案もあるという。

いっぽうで、2065年までに実施されるとされていた高速道路の無料開放に関しては、延期する方針で検討を進めているという。

無観客なのにロードプライシング、理由はコレか…との声も

ロードプライシングといえば、今現在も東京五輪開催における交通規制の一環として、首都高の一部路線で実施中だ。具体的にはマイカーの通行料金を午前6時から午後10時まで1,000円上乗せし、いっぽうで夜間はETC搭載車を半額にするなど、時間帯によって料金を変えている。

実際、先日の4連休における首都高の交通量は、報道によると開会式があった23日に30.9%減少。24日も28.6%減となるなど、3年前の同じ時期と比べて2~3割ほど減少したとのことで、その効果は絶大だった模様だ。

ところがロードプライシングの実施初日には、都心部の周辺を繋ぐ外環道で一時20キロ近くの渋滞となるなど、他の自動車道あるいは周辺の一般道が大混雑となり、ドライバーからは「大遅刻」「もうウンザリ」といった声が多くあがっていた。

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今回報道された、ロードプライシングの本格導入の件だが、混雑が常態化している都市部への交通抑制や分散化に繋がるということで、賛成する声も多い。ただ、つい先日「どうして五輪は無観客なのに交通規制をするのか」と物議を醸したばかりとあって、ドライバーからは「理由はこれだったのか」「どさくさ紛れ」といった声も聞こえてくる。

今月16日に行われた定例会見では、五輪開催時のロードプライシングは「国土交通省や首都高速道路会社が独自で決定した施策ではなく、あくまで、東京都及び大会組織委員会からの協力依頼に基づき、首都高速道路会社が実施するものです」と、あくまで自らの主導ではないとのコメントをしていた赤羽大臣や国交省だったが、実際のところはそれを横目でしっかりと見ながら、今回報じられた本格導入への検討を進めていたのは想像に難くないだろう。

「無料開放」の延期にも批判の声が高まる

いっぽうで、今回の報道において共に検討されているとされ、ある意味でロードプライシングの本格導入以上にドライバーの注目を集める格好となっているのが、高速道路の「無料開放」が延期されるという話だ。

全国にある高速道路に関しては、日本道路公団が民営化された際に、その建設によって負った借金を2050年までに返済し、その後無料化すると法律で定められた。ところが、その後に起こった中央道でのトンネル天井板崩落事故を契機に、施設の更新を迫られることとなり、それには巨額な費用が必要ということで、返済期限が2065年までに延長されたという経緯がある。

しかしながら、その後の調査で予想以上の施設の劣化が判明したことや、さらに自動運転車の普及によって、専用レーンの整備も必要に。当初は約5.2兆円を見込んでいた設備更新にかかる費用はさらに膨れ上がる可能性が高いというのだ。

そういった事情もあり、返済期限が2065年でも間に合わないという判断がなされたものと推測されるが、この返済期限の具体的な時期に関して、国交省は今後法律には記載しない方向で検討しているようなのだ。「将来的に無料開放する原則は維持している」とも主張している国交省だが、その具体的な期限を切ることを止めるということは、実質上「無料開放の約束は反故にされた」と受け取られても仕方のないところ。ネット上でも「嘘ばっかり」「無料にするする詐欺」などと、ロードプライシング本格導入の件よりも厳しい声が飛んでいる状況だ。

ロードプライシングにしても高速道路の無料開放延期にしても、多くの国民が直接的に影響を受ける施策だけに、どさくさ紛れで物事を進めるのではなく、利用者の理解を得られるような説明、あるいは見返りの提示が必要となってくるのは言うまでもないが、国交省への不信が募るばかりの現状では、その成り行きが大いに心配されるところである。

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