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経済より権力の習近平、中国株下落は日本をどこまで巻き込むか?迫る中国“住宅バブル”崩壊=斎藤満

中国が苦境に陥っています。習近平政権は体制維持のために、経済の成長エンジンに自らブレーキをかけています。住宅高騰が危険レベルに達し、日本のバブル崩壊の二の舞になる恐れも出てきました。(『マンさんの経済あらかると』斎藤満)

※有料メルマガ『マンさんの経済あらかると』2021年7月28日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

中国、体制維持のための巨大な代償

中国が思わぬ苦境に陥っています。習近平政権が安定維持を優先させるために、金の卵を産む鶏を殺そうとしています。

政策の矛盾がさらに新たな矛盾を生んで、経済面で支払う代償を巨大なものにしているのです。

そんな中で、国際機関の中国経済予想が下方修正されるようになり、中国株の下げが日本株にも下げ圧力になりつつあります。

米国市場で中国企業株が下落

米国市場に上場する中国企業の株価が大きく下げる場面が目立ちます。

米中対立が反映されている面もありますが、それだけではないようです。確かに米国のバイデン政権は、前のトランプ政権から引き続き、中国企業を通じて米国の軍事情報などが洩れるリスクを憂慮し、米国に上場する中国企業に対する米国当局の監視が強まっています。

とりわけ、米国は中国の民間企業とは言え、中国政府との関連を強く意識し、米国情報が北京政府に利用される事態を警戒。米国市場に上場を続けたければ、米国当局の監査を受けるよう義務付けました。

一方、中国政府も中国の民間企業が米国市場で資金調達することを制限するようになりました。

やはり北京政府の関与や、中国情報がワシントンに筒抜けになることを避けたいというのが1つの理由ですが、それだけでもありません。

都市部と地方の格差拡大、習近平体制に不満が募っている

まず、憲法を改正してまで永久政権を目指す習近平体制が、国内でもぐらついていることです。

都市部の戸籍を持つ国民と、地方の戸籍のない国民との間の格差が大きくなっています。

圧倒的に多数を占める地方の国民たちが、低所得・失業・公衆衛生の不備などで成長から取り残されたままです。

ワクチン接種も共産党員・都市部の住民が優先され、地方が取り残されたうえに、中国製ワクチンがデルタ株にはほとんど効果がないことが分かり、中国のワクチン外交も行き詰まりました。

中国政府は急遽ファイザー社などのワクチンを買いあさっていると言いますが、これは共産党員優先で、一般国民には届かないと見られています。

そして6月以来の長期的な豪雨で、内陸部の長江、黄河流域では広範囲の氾濫、洪水被害で多くの犠牲者を出し、住む家を失った人が何十万人も出たと言います。

こうした一般庶民の生活困窮に適切な手を打てない政府に、不満の声が上がっています。香港や新疆ウイグル、チベットなどでの人権弾圧も反政府ムードを高めています。

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