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ニクソン・ショックから50年、再びドル安を仕掛けに来る?米国の都合で動かされる円の価値=今市太郎

変動相場制実施で米国の都合で円の価値が変化することに

変動相場制スタートからほぼ14年後、レーガン政権で双子の赤字に悩まされた米国は、主要5か国をニューヨークに招集し、ドル高是正のために各国に協調行動を取ることを無理強いしました。

これが開催されたホテル名をとって付けられた「プラザ合意」というもので、かさみに嵩んだ財政赤字を減らすために「ドル安」を恣意的に作り出して、無理やり債務を減少させるというやり口を現実のものにします。

当時、最強国である米国の姿勢に逆らうことができた国は無く、結局、自国通貨高を延々と演出する相場がスタートすることになったのです。

日本はこの合意の後、かつてないほどの円高に襲われ、それを起因としたバブル経済で一時的に大盛り上がりになりましたが、その後に崩壊し、これまで凄まじい経済損失に見舞われることになったのですから、米国の為替政策は我が国にも非常に大きな影響を与えているというのは言うまでもありません。

レーガン政権時の債務は日本円で100兆円ほどで、現状の足元で散々議論されている連邦債務の上限のシーリングが日本円で3,000兆円ですから、今の米国政権の抱える債務の金額がいかに大きいかがわかるでしょう。

しかもバイデン政権は、ここからさらにインフラ投資と国民へのカネのバラまきを実行しようとしているわけですから、気が遠くなるような状況に陥っていることもわかります。

早晩、持ち出されるであろうドル安政策

米国債というのは日本国債(JGB)とは異なり、海外の国をはじめとする投資家が購入するのが大きな特徴となっています。巨額の財政支出をほとんどすべて赤字国債で賄っているこの国は、このままではどうみても税収をベースに真面目に返済していくことなどできないのが実情。またしても飛び出しかねないのが、米ドル安を人工的に作り出して債務を減らしていこうとする政策ということになります。

現状では中国やロシアの米債購入額はだんだんと減ってきており、日本だけがせっせと買わされています。大量保有国の中国元や日本円に対して、ドルが著しく安くなれば、債務の縮減はいとも簡単に現実のものとなります。

ですから、ごく近い将来に「プラザ合意2.0」のような動きが出ることは容易に予想できるものがあります。

すでに政界からフェードアウトしたトランプは、学者を集めて政権発足当時からこうしたプラザ合意の再来をどう実現するかを研究させていたといいますから、かなり信ぴょう性のある話。

当然、バイデン政権でも同様のことを考えている可能性が高まります。

Next: 早晩、訪れることになるのがドル安円高

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