「儲からなかったから、落ち込みもない」という楽観論
金融市場では、五輪によるご祝儀相場は一切見られず、大した経済効果もありませんでした。
そのため、ここから景気が落ち込むことを「心配する必要なし」といった楽観論が出ています。
しかし、この1年半以上、中小企業をはじめとして飲食業などはできる限りの借入をしており、もはや経営は限界に達しているという見方もあります。
五輪開催のために抑制した企業活動の結果が、「負の経済効果」として噴出する可能性を指摘する声も高まりつつあります。
不況は3か月遅れでやってくる?
一般的には、不況は3か月遅れてやってくるとされています。
ですから、日本の経済がもっとも様子がおかしくなるのは、11月あたりになることが予想されます。
こうなると、内閣府が第3四半期に飛躍的な経済回復を遂げて、コロナ前の景気に戻すと予測した内容は、そっくりそのまま嘘になる可能性も高くなってきます。
五輪後は「景気後退の影響なし」とする楽観論も、すべて否定される可能性が残されていることがわかります。
景気後退はないのか、はたまた深刻な景気の落ち込みを示現するのか。
それは、ここからの経済状況を粒さに観察していればわかること。景気の先行きを取り込んで数字で示すのが株式市場ですから、本当に景気悪化が現実のものとなる場合には、株式指標が先んじて下落する危険性がありそうです。
為替がその巻き添えを食らうリスクも、常に意識しておくことが重要になりそうです。
ドル円は秋口、とくに感謝祭以降は確実に上昇する傾向がありますが、今年は真夏にドル高が出るなど、必ずしも例年のサイクルにはマッチしない動きを見せています。そのため、完全に別の動きになることも覚悟しておかなくてはなりません。