人気者の総裁を担いで選挙に挑みたい自民党
総裁変更の目的は、低い支持率の菅首相のままなら、約50名は減ると予想される自民の議席を、減らさないことです。
国民の人気が高い総裁で11月選挙に突入しなければならない。
その前に、カギになるのが、横浜市長選です(8月22日が開票日)。9人が立候補した混戦。菅首相は、小此木(おこのぎ)氏を推しています。横浜(人口372万人)は小此木家~菅氏の地盤です。
ところが、コロナ失政の政権への不人気から、立憲民主が急遽立てた、山中竹春元横浜国立大学教授が、「相当に」リードしているようです。
ここで、小此木氏が敗れると、政局は動くでしょう。
※参考:【菅義偉】8.22横浜市長選が菅首相にトドメを刺す! まさかの野党候補リード – 日刊ゲンダイ(2021年8月14日配信)
菅首相は、安倍氏と麻生氏の動きは知っています。安倍氏と麻生氏が反菅になれば、負けが決まった総裁選には出ることはできない。あるのは、8月23日から31日までの辞任でしょう。
<横浜市長選の結果は8月22日(日)午後8時>
横浜市長選で小此木氏が負ければ、菅氏を支持してきた自民党も、11月の衆院選を戦えないという声が、澎湃(ほうはい)として起こります。
総裁にしてくれた安倍・麻生氏の支持を失い、自民党内でも「菅おろし」が起これば、菅首相には辞任の道しかない。
アフガン敗戦(政権の崩壊)から、急に危うくなってきたバイデン大統領とおよそ同時に、菅首相も辞任の可能性が高い。
バイデンの辞任はまだ不明ですが、横浜市長選の結果をきっかけに、菅政権崩壊の可能性は、高いでしょう。次期総裁は、河野太郎か。
危機ラインの内閣支持率でも、表面上は平穏に見える政界
自民が重視しているNHKの世論調査では、コロナ対策での失政を認識する国民が増え、菅内閣の支持率は29%に下がっています。
特徴は不支持率が52%と高いことです。普通の時期なら、30%以下の支持率は、政権の危機になり、首相おろしが起こります。政権の争いを政局(Political Affairs)ともいう。
ところが、野党への期待は低い。これが、危機的な支持率にも自民党議員が安閑としている理由でしょう。
菅内閣の特徴は、官僚と議員の強い統制です。政策への反対意見をいえば、ポストをはずされます。反旗には、その覚悟が必要ですが、議員個々にはその骨はない。そこで、派閥の領主が徒党を組む。
20年9月発足以来、菅内閣が前月比で支持を高めたのは、21年の3月・4月だけです。ワクチンへの期待が高まった時期でした。
※参考:NHK世論調査 内閣支持率 | NHK選挙WEB(2021年8月10日配信)
あとの10か月は、支持率を減らしています(※筆者注:歴史的には森内閣の9%、鳩山内閣の14%が最低の支持率でした)。