9月1日に発足したデジタル庁の事務方トップである「デジタル監」に就任した石倉洋子氏が、自身のウェブサイトにおいて、有料の写真素材サイトのサンプルを無断使用していたことが判明し、大きな騒動となっている。
画像の無断使用が発覚したのは、石倉デジタル監が個人で運営しているウェブサイト。ブログ記事の見出しに使われている画像に、「PIXTA」や「Shutterstock」といった有料の写真素材サイトのウォーターマーク(すかし)が入っているものが複数個所で使われていることが、SNS上で指摘されはじめ、3日午前にはPIXTAの執行役員が石倉デジタル監に対して、Twitterを通じて問い合わせをする事態になっていた。

石倉洋子さん個人ブログのキャプチャ(現在は閉鎖中)

石倉洋子さん個人ブログのキャプチャ(現在は閉鎖中)
これらの動きを受けて、石倉デジタル監は「全く私の不注意でした。お詫びします。大変申し訳ありませんでした。至急対応いたします」と全面謝罪。
石倉洋子です。全く私の不注意でした。お詫びします。大変申し訳ありませんでした。至急対応いたします。 https://t.co/SYIahsdSqS
— Yoko Ishikura (@yokoishikura) September 3, 2021
その後、問題の石倉デジタル監のサイトは「メンテナンス中」となり、閲覧ができない状態となっている。
評価が一夜で急降下した石倉デジタル監
日本人女性として初めて米ハーバード大大学院で経営学博士を取得し、経営戦略の専門家としてこれまで数々の一流企業で社外取締役を務めて来たという、キラ星のような経歴を持つ石倉デジタル監。
9月1日に行われたデジタル庁の発足式では、「私はデジタルの専門家でもエンジニアでもない」と謙遜するような発言をするいっぽうで、プログラミングはもとよりWordPressやPythonにもチャレンジしたと語るなど、知識欲旺盛なところを披露。さらにTwitterの登録は2009年とかなり古く、さらにfacebookやInstagramも使いこなしていることも判明し、ネット上からは「スーパー72歳」「コンピューターおばあちゃん」などと、デジタル監としての素質は大アリでは、といった声も多くあがっていた。
石倉洋子女史の「私はデジタルの専門家では無いが」は、恐らく「素人質問で恐縮なのですが」の類だぞ、気を付けろ。
Twitterの登録は2009年、自サイトは独自ドメインかつWPできっちり構築されており毎日更新、facebookでは関連イベントやディベートに参加、インスタも使いこなすスーパー72歳やぞ……
— K A Z E / 高 橋 賢 治 (@KAZE) September 2, 2021
デジタル庁、事務方トップの「専門家でもエンジニアでもない デジタルの知識がすごくある人でもない」をキッズ達が嘲笑ってたけど実は「素人質問で恐縮ですが」の豪傑だったし、ロゴも「フォントまんまw」ってキッズが騒いでたら「これ文字けっこういじってますよ」でいきなりリテラシー試しにきてる…
— たび (@mesotabi) September 2, 2021
デジタル庁のデジタル監に小柄でほっそりした高齢の女性が就任し、ここぞとばかりに自称ツイッターの猛者どもが嘲笑うも、その石倉洋子さんは実は百戦錬磨、一騎当千の豪傑だったという展開、映画好きとしては大好物、燃えますなあ! pic.twitter.com/mXhTFXDXzw
— キルゴアさん (@KilkilGoregore) September 2, 2021
ところが今回の一件によって、インターネット上の著作権にまつわる問題に関しては、まったくの無頓着どころか、自ら進んで侵害していたことが露見する格好に。当人は「全く私の不注意でした」と弁明しているが、うっかり1枚や2枚というならともかく、それが結構な枚数に及ぶとなると、やっぱり分かってて無断使用をしていたのでは……と思われてしまうのは、致し方ないところだろう。
前日までは「実はデジタルの達人なのでは?」とも期待されていた石倉デジタル監。しかし、それ以前の問題である「ネットリテラシー」をまったく持ち合わせていないことが判明したことで、その評価はすっかりダダ下がりとなってしまったようだ。
デジタル庁のゴタゴタで完全に心が折れた菅総理
各省庁の縦割りを打破し、行政のITシステムの統一を目指すため、菅義偉総理の肝いりで発足したデジタル庁。
平井大臣のリーダーシップの下、デジタル庁が発足しました。
石倉デジタル監はじめ約600人体制の船出です。
新型コロナは、行政や民間でのデジタル化の大きな遅れを浮き彫りにしました。
思い切ってデジタル化を進めなければ、日本を変えることができない。
これを強力にリードする司令塔が必要である pic.twitter.com/x3ZU3pRemS— 菅 義偉 (@sugawitter) September 1, 2021
しかし、早速初日からサイトがサーバーダウンによって閲覧できなくなるという、まさかの事態が発生したのにくわえ、平井卓也デジタル大臣による開庁にあたってのメッセージにある「私は、その日本流のデジタル化を、武士道になぞらえ、「デジ道」と呼んでいます。」という一文に関しても、「何もわかってない感がすごい」「こりゃダメだな」と、その意味不明ぶりに呆れる声が多数。スタートから大いに躓く格好となっていた。
ここで武士道を持ち出すとか、「何もわかってない感」がすごい。デジタル精神論。
平井卓也「デジタルによって人助けをする。それが我が国の進めるデジタルの本質であり、私は、その日本流のデジタル化を、武士道になぞらえ、『デジ道』と呼んでいます」「デジ道に忠実に」https://t.co/spghQCV7kH
— 山崎 雅弘 (@mas__yamazaki) September 2, 2021
「デジタルによって人助けをする。それが我が国の進めるデジタルの本質であり、私は、その日本流のデジタル化を、武士道になぞらえ『デジ道』と呼んでいます」。こりゃダメだな。デジタルに精神論を持ち込むような人物にデジタルの活用ができるわけがない。
https://t.co/AFkoskS5Oe #デジタル庁— m TAKANO (@mt3678mt) September 2, 2021
そもそも、初代デジタル大臣に就任した平井卓也氏といえば、東京オリ・パラの観客向けのアプリの開発を巡って、請負先のNECを「脅しておいた方がよい」「徹底的に干す」などいうパワハラまがいの指示を、自身の部下に出していたことが、音声データの流出によって明らかになり、その尊大な性格と人望の無さが明らかに。
さらに昨年の10月と12月には、上記アプリの開発を受注することになったNTTグループの幹部から、豪華接待を受けていたことも報じられるなど、まさに不適切ラッシュといった状況。晴れて初代デジタル大臣に就任したものの、近々行われる衆院選では今まで以上の苦戦を強いられるのは間違いなく、下手をすれば返り咲き叶わず大臣も辞任といった最悪のケースもあるかもしれない状況だ。
そのうえ菅総理のほうも、今後のデジタル庁の活躍ぶりを見届けることなく、次期総裁選への立候補を見送ることを突如として表明してしまった。コロナ対策を始めとした数々の施策がことごとく裏目となっていた菅総理だが、宿願だったデジタル庁に関しても開庁からゴタゴタ続きとなったことで、その心が完全に折れてしまったのかもしれない。
Next: 「『デジ道』じゃなくて『デジ恫』でしょ」