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年金通知書97万人に誤送付で大混乱、還付金詐欺ラッシュに要警戒。ずさんな管理体制に「またか…」批判続出。年金問題も衆院選の争点へ

日本年金機構が愛知県などの年金受給者約97万2,000人に対し、誤って別人の年金支払額などを記載した振込通知書を発送していたことが判明し、多くの怒りの声があがっている。

報道によると、誤送付があったのは愛知・三重・福岡の3県に今月4・5日に発送した10月分の通知書。宛名の書かれた表面と、振り込み内容を記載した裏面とを別々に印刷したものの、岐阜県にある委託業者が間違って印刷してしまい、表面と裏面が同じ人宛てのものかについての確認も怠ったという。

誤送付分のうち、愛知県が約80万人と大半を占めるという。日本年金機構の石倉裕子理事は会見を行い、「このような事態を招き、大変ご迷惑をお掛けした」と謝罪した。

著しく低い年金機構職員や外部業者の質

国民にとっては「またか……」といった感も強い年金関連の不祥事。過去の事例を振り返ると、やはり印象深いのが、2007年にあった国民年金など公的年金保険料の納付記録漏れがなんと5,000万件もあると発覚したという、いわゆる「消えた年金」問題。当時の社会保険庁によるずさんな情報管理ぶりに、政府の監督責任が問われる事態となり、同年に実施された参院選での与党大敗の原因となった。

この件をはじめとして様々な問題が明るみになった社会保険庁は後に解体され、2010年には新たに日本年金機構が設立されたが、不祥事は一向に止まず。

2015年には職員がうっかりウイルスメールを開封したことが原因で、約125万件の年金情報が外部に流出する事態に。

さらに2017年には、年金機構の現役職員と社会保険庁職員OBの2名が結託し、年金加入者の個人情報を数年間で計約400人分を持ち出していたことが発覚。OBの男は、受け取った個人情報を探偵や占い師としての業務に悪用していたというから、聞いて呆れる話である。

いっぽうで2018年には、年金情報の入力業務を委託された外部業者が、キャパを超える作業量を受注しパンクした末に、こともあろうか中国の業者に事業を再委託し、個人情報が海外に渡ってしまうという不祥事を引き起こしている。

こうしてみてみると、紆余曲折あって日本年金機構として再出発したものの、その職員の質もさることながら、業務を委託される外部業者の仕事のレベルも著しく低下していると言わざるを得ないだろう。

今回の件に関しても、外部業者のミスが原因とされるものの、「監督責任は年金機構だろ?」と、確認を怠った日本年金機構への批判が殺到する結果に。「余りにもずさん過ぎる」との声はもちろんのこと、「年金だけすらまともに管理できてないのに、マイナンバーで免許証や保険証等全て紐付けて管理できるとは思えない」と、他の行政サービスへの不信も広がる格好となっている。

いっぽう、今回は下請け業者のミスということで、あの悪評高い竹中平蔵氏が大いに関わる「パソナ」系の会社がやらかしたのではと疑う声もチラホラ。役所における業務のアウトソーシング化が進んで久しいが、これらが一部の派遣業など政権中枢のいわゆる“お友達企業”への優遇との見方は根強く、そのことへの不満が今回の件を契機に蒸し返されており、今回の件で専用ダイヤルが設置されることに関しても「まさかパソナの自作自演とか」と訝しむ声まであがる始末だ。

さらに、この不祥事が大々的に報道されたことでの余波として危惧されているのが、「還付金詐欺」多発の可能性だ。今回の情報漏洩が直接的に詐欺被害に繋がる可能性は低いとされてはいるが、報道に便乗する形で年金機構からの連絡を装った詐欺電話がかかってくることは大いに考えられるということで、殊に今回誤送付があったエリアに高齢の親族や知り合いに対して注意を呼び掛けるべし、といった声もあがっている。

不祥事発覚で年金問題も選挙の争点に?

このように度重なる不祥事で信頼を落としまくっている年金だが、つい先日の9月中旬には、当時の田村憲久厚生労働相が「公的年金制度改革」の一環として、財政基盤が弱い国民年金に対して厚生年金から財源を振り分けるといった話が浮上し、年金の目減りが予測される厚生年金を日々払っているサラリーマンなどから、多くの怒りの声があがったばかりだ。

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いっぽうで新たに就任した岸田総理は、株などの配当所得や譲渡益といった金融所得に対して、現状は50万円以上で一律20%の税率をアップさせるのも「選択肢の一つ」だと、今後の検討をつい先日明言ばかり。

年金が信頼できずアテにもならないということとなると、投資などによって自力でお金を作るしかなく、現に政府も過去に「老後の30年間で生活費が約2,000万円不足」などと散々煽ってきた。にもかかわらず、今後はそんな自助での老後資金作りも、以前と比べて困難になりそうな情勢なのだ。

先述の田村元厚労相による「公的年金制度改革」の件だが、政府としては選挙前のタイミングながらも、実際の選挙の頃には有権者は忘れているだろうというタイミングを狙って、明らかにしたのではとの見方もあった。しかし今回の不祥事によって、年金に関する諸問題が改めてクローズアップされることで、与党側が嫌がっているとされる選挙の争点となる可能性も大いにありそうである。

Next: 「みなさまも身近な方に誤送付あったら…」

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