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天才児をも殺す「親ガチャ」の現実。児童130万人が就学困難、なぜ日本はクソ運営で自ら弱体化するのか=鈴木傾城

貧困の子どもたちは、あらゆる場面で学びの場を失う

貧困の子どもたちは、自分を向上させられる唯一の「細い糸」である学校でも孤立することが多い。

学校が終わった後に子どもたち同士で遊びに行く中でも、貧困の子どもたちは小遣いなどほとんど持っていないので、仲間と遊びに行っても、どこの店にも入れない。

自転車が買ってもらえなかったり、ゲーム機が買ってもらえなかったり、他にもちょっとした「仲間と同じ物」を所有することもできず、結局は疎外されていくことになっていく。

自分が仲間から外れていくこともあれば、お金を持っていないことを仲間にからかわれたりいじめられたりすることもある。子どもの世界は残酷で容赦ない。そうやって貧困の子どもたちは「自分だけが違う」という意識の中で孤立していくことになる。

その結果、もう学校に行くこと自体が苦痛になって自ら学業放棄したり、ひきこもりになったり、逆に非行に走ったりして、表社会で活躍するための「細い糸」だった教育をプツリと切ってしまう。

貧困の子どもたちは、家で勉強する環境もないことも多い。勉強部屋などないのは当たり前だ。だから、兄弟や親にしばしば勉強を邪魔されることになる。

親が四六時中テレビを大音量で流していると、子どもも勉強よりもテレビに向いてしまうだろう。親自身が教育で恩恵を受けたことがないために、教育に理解を持っていないこともある。

だから、じっと勉強している子どもを見て「勉強なんかしても無駄だ」と冷たく言い放つこともあれば、「勉強している暇があれば親の用事を手伝え」と逆に勉強を中断させることすらもある。

親が子どもに知識を与えられないことも多いので、子どもに何か聞かれても「知らない」「うるさい」と追い払い、子どもの勉強意欲を削いでテレビを見て笑っているような親も多い。

また、親が子どもに悪態をついたり子どもを放置したりすることもある。子どもに満足な食事を与えないこともある。子どもを虐待することもある。そんな中で、子どもの学力は伸びるだろうか?

断ち切れぬ貧困の連鎖。学力の差で社会の裏側に落ちていく

子どもの教育に理解のある親とない親では、必然的に子どもの学力の差になってあらわれるのはここから来ている。

低所得層の子どもが低所得になりやすいのは、社会の最底辺ではそこから抜け出すための環境が揃っていないからである。1つ2つの要因ではなく、日常のすべての環境が勉強から遠ざける環境になっている。

「親の経済格差が子の教育格差につながっていく」というのは冷徹な真実なのだ。だから、高学歴・高収入の親を持つ子どもたちが素直に学力を伸ばして、親と同じく高学歴・高収入の道を歩み、有名大学は高学歴の親を持つ学生であふれることになる。

一方で、低学歴・低収入の親を持つ子どもたちは、学力を放棄し、学校をドロップアウトし、社会をドロップアウトし、低収入の仕事を転々とするようになり、社会の裏側に落ちていくことになってしまう。

低収入に甘んじて流されて生きている人たちは、もともと知能が足りなかったのではなく、知能を伸ばす教育から子どもの段階で引き離されていたからという要因もある。

Next: 日本の底辺が拡大中。子どもにも経済格差による就学困難が定着する

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