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なぜソフトバンクG株は年初来30%も下落?「割安」評価は虚構、それでも孫正義の目利きに期待できる理由=栫井駿介

ビジョン・ファンドの利益が低下している

それに加えて、直近発表された決算ではビジョン・ファンドの利益も直近のピークからは低下傾向が見られるというところです。

このビジョン・ファンドの利益というと非常に水モノ的なところがあり、普通の利益というと売り上げからコストを引いたものですが、ソフトバンクグループは投資会社の側面が強く、投資会社の利益は、ソフトバンクグループが採用している国際会計基準だと、四半期で持ち株の株価が上がったらそれが利益として計上され、次期に株価が戻ったとしたら戻った分は損失ということになります。

したがって上下動が激しくなる傾向があり、今は低下している状況です。

アリババ株の下落要因は?

アリババの株価はソフトバンクグループ以上に下がっていて、年初来で45%のマイナスというところです。

アリババグループ<BABA> 日足(SBI証券提供)

アリババグループ<BABA> 日足(SBI証券提供)

この要因として最も大きなところは、中国政府から執拗なイジメを受けていることです。

急成長してきた会社ですけれども、基本的にはやはり中国のみで事業を展開する会社ですから、政府に目をつけられてしまったらたまったものではありません。

同時に業績の方も成長の鈍化が見られます。

中国ではネットショッピングが一気に成長し、今やEC化率が45%と、アメリカでも15~20%と言われていますから相当高い水準です。

あっという間にネット先進国となったわけですが、逆に言えば成長余地は小さくなっているということです。それからコストもかかってきていて、利益率の低下も見られます。

もっとも、未だに年率でいうと30%ぐらいの売り上げ成長を見せているので、まだまだ成長株とも言えるわけですが、一方で中国ですから、政府の一存で利益がまた罰金として持って行かれたり、さらには事業そのものを破壊してしまうような政策が行われるということも十分に考えられるわけです。

利益に関しては、2020年上期はコロナショックの反動で1.8兆円というとんでもない利益を出していて、それに比べると大きく減少しました。

出典:「ソフトバンクグループ2022年3月期第2四半期決算説明会資料」

出典:ソフトバンクグループ2022年3月期第2四半期決算説明会資料

そういう意味では、目先のピークは越えたという見方ができるわけです。

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