日銀が利上げせざるを得なくなるとどうなる?
まずインフレが到来しているのに利上げを行わないとどうなるかは、足もとのトルコの金融市場を見ていればすぐにわかるところです。自国通貨は過度に売られ、株式市場は大きく下落、中央銀行の信認性は大きく失墜することになります。
逆に日銀がとうとうインフレ対策で利上げをせざるを得なくなった場合には、MMT理論を先行実験してきたかのように1,000兆円も発行してしまった国債の利払いに、国は大変な資金を充当させることになり、すでに三流貧乏国になりつつある本邦は、さらに財政的に厳しい国になることが確定してしまいます。
財務省の試算では、今後1%金利が上昇すると、翌年の国債費は1兆円増加、2年後は2兆円、3年後は3.8兆円増加するとしています。
本邦の国債は60年が最大償還のルールですが、その中には当然、短期債・中期債も混ざっていますから、平均すれば償還期限は9年前後とされています。
ここから金利が上昇局面に突入すれば、国が国債の借り換えをするたびに国債金利は上昇し、今年度の国債費23.4兆円から考えても今後、国家予算に占める国債費の割合は爆発的に増えることが予想されます。
長年の実質財政ファイナンスに、何か解決策はあるのでしょうか。
日銀に迫る債務超過
国債金利が上昇すれば債券価格は下落、日銀保有の債券も大量の含み損がでることになりますし、インフレで株価が下落をはじめれば、これまた大量保有しているETFにも含み損がでる始末で、日銀は債務超過に陥りかねません。
本邦の金利上昇となれば、円にも買いが入ることになるのでしょうが、こんなボロボロの国の円を積極的に買う向きがいるのかという問題も生じてくることになります。
日銀がまさかの利上げという話は。国内メディアでも誰も口にしませんが、実は利上げをしたらしたで、大変なリスクが市場に押し寄せてくることになります。
どこまで現実のものになるのかは、ここからの経済状況を注視するしかありませんが、為替取引をするものとしては十分に意識しておかなくてはならないリスクの1つといえそうです。
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