2022年の相場はかなりリスクが大きくなると考えざるを得ません。日本の財政は火の車となり、東証は世界のローカル市場に成り果てる……昔から言われてきたことが、いよいよ具現化していくと予想します。(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)
※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2021年12月22日・24日号の一部抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会に初月分無料のお試し購読をどうぞ。
日銀の指標から見えてきたインフレの兆し
2022年の私的相場リスク予想をさせていただきます。日本株特有の問題、とりわけ日銀が主導する大問題について予想します。
先週の中銀政策発表ウイークの中で、まあったく事前から市場の興味を注がれなかったのが、日銀の政策決定会合でした。しかし、新型コロナウイルス対応の資金繰り支援策の縮小という結果発表が報道された途端に、日経平均はあれよあれよと下げ始め、結果500円安で後場を終えることになりました。
本邦勢にとっては、コロナ感染が一段落した国内の状況下では、この手の支援縮小の実施など、およそ相場下落の要素にはならないと誰もが思う内容でした。
ところが、市場は完全に日銀も他の主要国の中央銀行の政策変更とともに引き締め方向に動くのではないかといった憶測が飛び交ってしまった様子。
米国をはじめとして、いよいよインフレが到来しようという時に、日本だけデフレのままで緩和継続が続くわけがないと見られていることがいきなり露見する状況となってしまいました。
ただ、その後の会見に登場した黒田総裁は、日本の物価上昇率は、一時的な要因やエネルギーを除いてもプラス0.5%程度で、23年度でも1%程度の伸びにとどまるとして、本邦にはインフレ一切関係なしを改めて強調して涼しい顔をしていたのが印象的でした。
しかし、本邦にインフレが来ないというのは果たして本当なのでしょうか?
当の日銀が発表している経済指標からは、外的要因を含めてインフレの波がすでにひたひたと押し寄せてきていることがわかります。
日銀が12月10日に発表した11月企業物価指数、いわゆるCGPIの速報値は、前年比プラス9.0%と、過去40年来で最高の伸び率となっているほか、輸入物価指数は円ベースで前年比プラス44.3%と、凄まじい上昇率を記録しています。
海外からの影響で国内でもインフレが進行するのは、もはや避けられないところに来ている状況です。
日本はインフレが来ても利上げできない?
黒田総裁も「実質インフレ率2%は超えるかもしれない」とは発言しているようですが、実際、日銀内では相当この状況に慌てふためいているという話も漏れ伝わってきています。
どこかで政策変更を余儀なくされることは、すでに自覚している可能性が高そうです。
このメルマガでは、折に触れて書いてきましたが、アベノミクスは確かに、デフレ脱却・円安推進・株価大幅上昇といったことが表面上の主目的でした。
ところが、実は2%の実質インフレ達成を大義名分にして、日銀は金融抑圧、つまり金利を限りなく0%に押しとどめて爆発的に発行している赤字国債の金利、いわゆる国債費を強烈に低下させることに寄与してきたわけです。
そのため、「インフレが到来しました。はい、それでは利上げしましょう!」というわけには行かないのが現実のところ。
最初からいけるところまで行くという恐るべきインパール作戦に、いよいよ破綻的終焉が見えてきていることが窺われます。