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11月まで円高・株安が続くも、1ドル105円で一旦は下げ止まりか=長谷川雅一

「世界通貨安戦争」が始まった

アメリカの大統領選挙の様子を見ているとわかりますが、今、アメリカは、「自国の利益のみを追求する姿勢」に傾いています。

極端な話、「アメリカ国民だけが幸せになればいいじゃないか」という感覚が強くなっているのです。

共和党で勝利を確実にしたトランプ氏も、次期大統領になるであろうクリントン氏も、クリントン氏を苦しめているサンダース氏も、同じような主旨の発言をしています。

「利上げ」と「ドル安」を両立させたい米国の狙い

今、アメリカは「利上げ」しようとしています。しかし、利上げをすれば、自国の通貨が上がってしまうという弊害が出ます。自国の利益を追求するためには「ドル安」にしなければならない。

「利上げ」しつつも「ドル高」にしないためには、他国の通貨安につながる政策を牽制すればいい、ということでしょう。

アメリカは「利上げ」と「通貨安」という矛盾する2つの果実を得るために、あからさまな「為替操作」をしかけてきたのではないか、と思います。

これまで、眠れるライオンのように、極端なドル高が進んでも黙っていたアメリカが、「ドル高は許さんぞ!」と吠えたのです。これは「世界通貨安戦争」の始まりと言ってもいいでしょう。

日本は今こそ、日本と同様「監視リスト」に加えられたドイツや韓国などと連携して、
「アメリカは、財務長官の発言や監視国リストの発表といった形で、自国通貨(ドル)を安く誘導しようと為替市場に圧力をかけている。こうした行為は間接的な『為替操作』ではないか?」
と、アメリカに抗議すべき状況かもしれません。

とどめを刺した「オーストラリアの利下げ」

さらにさらに、悪材料は続きます。5月3日に、オーストラリアが政策金利を2.0%から1.75%に引き下げたのです。

これは、豪ドルの価値を下げることになります。つまり、これも自国通貨(豪ドル)を安く誘導する「通貨安攻撃」です。

当然のごとく豪ドル/円は円高の方向に動き、米ドル/円も、その影響を受けました。これで「止めを刺された」かっこうになり、とうとう、105.50円付近まで円高が進んだのです。

現在は自律反発で、107円付近まで戻していますが、まだ下落(円高)の流れは止まっていません。

Next: 米ドル/円は105円付近でいったん下げ止まるか?しかし――

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