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2022年前半の日本株急落に要警戒。米国「金融政策の修正」が誘発する5つの大波乱=馬渕治好

(詳細)
今週は、内外で、市場の材料と言えるものは、数としてはそれなりにはあります。ただ、そうした諸材料で、世界市場が大きく上や下に動くとは、予想しがたいです。

日本では、1/20(木)に、12月の貿易統計が発表されます。11月の輸出は前年比で20.5%増と、9か月連続の増加を記録していました。既に公表されている12月上旬と中旬の合計では、輸出額は15.5%増とそれなりの伸びでしたので、12月月間も堅調な前年比になると見込まれます。

ただし市場は、「一時は1ドル116円を超えていた米ドル円相場が、最近は114円を割り込む局面もあって、輸出企業の収益は今後どうなるのだろう」といったところに関心を移していますので、特にこの統計の内容が輸出企業の株価に影響を与えることはないだろう、と考えます。

日銀の金融政策決定会合は、1/17(月)~1/18(火)に開催されます。足元のインフレ圧力を反映して、物価見通しを若干幅だけ上方修正する可能性はありますが(日銀は、どうもインフレになって欲しくないようです)、金融政策の変更はないでしょう。

米国のマクロ経済統計では、1/19(水)に12月の住宅着工件数、1/20(木)に同月の中古住宅販売件数が、発表予定です。

2021年の企業決算発表も続きますが、まだ金融業が中心で、一般事業会社の決算は1/19(水)辺りから発表社数が増え始めるものの、佳境になるのは来週以降です。

1/17(月)は、中国のマクロ経済統計が多く発表されます(10~12月期GDPなど)。

今週の市場は、こうした材料よりも、引き続き不安定な投資家心理やポジションの都合による売買に振り回され、短期的には上にも下にもブレやすい市況となるでしょう。いつ何があって市況が上下に動くのか、見通せない事態が続くと懸念されます。目先的に投資収益を欲張ると、買っても売っても大きな損失を被る恐れがあります。

この先半年程度の流れとしては、全面的な株安と外貨安(円高)が進むと想定しながらも、その道のりは全く一直線ではない、と考えておくべきでしょう。

盛りの花~世界経済・市場の注目点

<リスク回避のための円高とは何なのか>

2022年前半については、世界的な株安が生じるなどにより、投資家のリスク回避的な姿勢が強まると予想しており、それが「リスク回避のための円高」を引き起こすと見込んでいます。ただ、なぜリスクが高まると円高になるか、について、理論的に納得できる説明はありません。おそらく、正しく根拠を持って解説することは、不可能でしょう。

もちろん、「リスク回避のための円高」が生じることについて、解説可能な場合はあります。たとえば米国でとても悪いこと(経済指標の悪化や米国株価の暴落など)が起こったので、米ドル売り・円買いが生じ、他通貨に対しても円が上昇した、などの場合です。これは、欧州でリスクが生じた場合なども同様です。

しかし、たとえば過去に、北朝鮮が盛んにミサイルを発射した際に、円高に振れたことがありました。この場合は、北朝鮮という、地理的に日本に極めて近いところでリスクが発生しているのに、地理的に遠い米国や欧州からリスク源に近い日本に資金が移動してくる、というのは、全くおかしいです。

なお、この時には、「北朝鮮に最も近い韓国から、リスク回避のために日本に資金が移動しているから、円が買われているのだ」という珍説も聞きましたが、それで韓国ウォン安・円高は説明できても、米ドルやユーロに対しての円高は説明できません。

それどころか、過去には2011年の東日本大震災時など、日本そのものでリスクが生じたのに、円が買われたことがありました。おそらく、富士山が噴火しても、日本列島が沈没しても、円高になるのだと思います。

なぜこのように、おかしな円高が生じるのかについては、いろいろな方が、「これが理由だろう」という説を唱えているのですが、納得できるものはこれまで一つもありませんでした。

Next: 中国リスクが噴出?2022年前半のシナリオ

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