敵基地攻撃能力検討の日本
そればかりか、日本の防衛論議が遅れています。
昨年12月の臨時国会で、岸田総理は所信表明演説にて「いわゆる敵基地攻撃能力も含め、あらゆる選択肢を排除せず、現実的に対応する」と述べました。
確かに、敵が日本に向けて一度に大量のミサイルを発射してくれば、これをミサイルで迎撃することは困難です。だからと言って、その恐れがあると判断すれば、事前に敵基地を攻撃する、というのは憲法違反となります。
安倍元総理の考えが影響しているようですが、「専守防衛」の立場をとる日本からすれば、先制攻撃よりも、そして核を保有するよりも、より強力な「抑止力」を持つ道があります。
防衛省はすでに「電磁力」を利用したレールガンの開発を進め、これで発射されたミサイルを迎撃する体制を準備しています。
そして、世界ではさらに進んだ技術が開発されつつあり、電磁波兵器によって、敵の発射スイッチを破壊し、ミサイルや核弾頭の発射を未然に防ぐ技術が間もなく完成するといいます。
日本もこの技術を開発していた経緯があり、これが完成すれば、核保有に頼らずに抑止力を手にすることができます。この電磁波兵器で核兵器を自爆させることも可能になるためです。
そうなると、核兵器を保有すること自体が大きなリスクになり、核廃絶が進む可能性があります。日本の技術力からすれば、迎撃兵器や核兵器の開発よりも、この電磁波を利用した技術を持つことで、相手の核攻撃、ミサイル攻撃を防衛する手段にできます。
脱炭素に「原発必要論」台頭
カーボン・ニュートラル下のエネルギー戦略でも、日本の立場が問われています。
日本の火力発電は「石炭」の利用が多いのですが、中国と違って、そのCO2排出量は少なく、世界的にも効率の良い火力発電として知られています。
それでも欧米連合が脱石炭の動きを作ったために、中国とともに日本の火力発電も見直しが必要になりました。
その点、再生エネルギーのコストが高いとして、最終的には20%余りを原発に依存する姿を描いています。
折しも、欧州委員会が今月初めに、原発と天然ガスによる発電は脱炭素に貢献する、との立場を鮮明にし、原発を認定する方針を示しました。
これは日本政府、経済産業省には強い援軍となります。既存の電力会社の利益を考えれば、コスト高の再生エネルギーよりも原発、天然ガスとなりかねません。
しかし、ドイツが原発をあきらめた理由が福島原発事故で、ひとたびこうした事故が起きると、膨大な処理コストとともに、人命にかかわる重大な問題となり、CO2排出よりもはるかに負担が大きいと判断したことによります。もっとも、ドイツの隣には原発を進めるフランスがあり、ドイツはそこから電力を買う手もありました。
日本にはフランスに代わる国はないので、原発を維持するか再生エネルギーのコスト削減をするかしかありませんが、福島原発の廃炉処理もいまだに展望できず、そのトータルコストは日本経済を大きく揺るがすほどの規模になります。
政府が言うような低コストのCO2フリー・エネルギーではありません。
国民感情からすれば、政府が再生エネルギーの推進をさぼり、安易に原発依存に走ることはマイナス点になります。