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なぜ若い「FIRE」信奉者は才能をドブに捨てるのか?ドケチ生活で失う経験値と稼ぐ力=午堂登紀雄

「選択肢は無数にあるのに、それが見えない」

起業はいいですよ。好きなことをやって、顧客から感謝されて、お金までいただけるのですから。ネットを主戦場にすれば、時間も場所も自由。家から一歩も出なくても、世界に向けて発信できます。

私の周囲には、ブログで起業しコストゼロで成功している人が何人もいます。講演とか講座などをやるときは時間も場所も固定されますが、好き勝手なことをしゃべり、でも内容が良ければ評価されます(そのしゃべるコンテンツさえ、様々な経験を積んできたからこそ豊富なストックとして活用できる)。

軌道に乗るには時間がかかることもありますが、うまくいけば会社員と違って収入は青天井です。事業ですから当然浮き沈みもあるわけですが、それを通じてメンタルも強くなるし、リスクに備えるスキルも上がる。すると毎日が楽しい、悩みなど何もない、人生は楽勝…という状態になります。

でも、若者は視野が狭いから、「自分の努力と才覚で商品・サービスを作り、自ら仕掛ける」ことへの構想や挑戦も視界に入らない。

選択肢は無数にあるというのに、それが見えない。

サラリーマンかリタイヤか、という単純二択になってしまう(そういえば私も20代の頃は視野が狭く、起業なんて自分には縁がなく、会社に所属するしかないと思っていました。当時はブログなどもなかったですし、ネット起業家という形態も存在しなかったから、起業は特別な人がするものという固定観念があったようです)。

むろん本人の周囲に起業している人がいなければリアリティがなくピンと来ないかもしれませんが、ならば同年代の起業家のシンポジウムやイベント、勉強会などに行ってみるなどして、彼らの話を聞いてみることです。

自分の労働観とは180度違う人、目標や使命感や夢に向かって邁進している人の話を聞くと、何か感じるところがあると思います。

生まれてから同じくらいの年月を生きてきたはずなのに、こうも視点や考え方が違うのはいったいなんなんだ、と衝撃を受ける人もいるでしょう。

私自身は起業家が書いた本を読んで起業への道を模索し始めましたが、そういう本を読んでみるのも視野が広がると思います。

「FIRE教」の信者になる危険性

しかし彼らは自分と違う意見は否定するのみで、頑なまでに自分の考えにしがみつく。ツイッターで難癖をつけてくる人も、「自分が正しい」「間違っているのはお前だ」の一点張り。う~ん、この頑固さはどこから来るのでしょうか。

おそらくこの「人の話を聞かない」「自分の考えに固執する」姿勢ゆえに、会社で重要な仕事やポジションが与えられない、だから評価も期待もされない、むろん給与も上がらない。だから会社も仕事も面白くない、という負の連鎖になっているのではないかと推測します(前述の「仕事をやらされている」という受け身の姿勢もマイナスに作用していると思います)。

とにかく会社がイヤでイヤで仕方がない、早く辞めたい、それにはFIREだ!リタイヤだ!となるのでしょう。なるほど、行き詰まっている人には飛びつきたくなりそうなコンセプトですが、どこかアレに似ています。そう、新興宗教です。

新興宗教の多くも、自分が生きる意味を見いだせず、何のために生まれたのか、自分は何をすればいいのか、などと迷える若者が夢中になり入信します。そして、自分が信じる教義以外の信仰は否定する。FIRE論も構造的にそっくりな印象です。

実際、FIRE信奉者はこのようなFIREに懐疑的な記事に露骨に反発します。

それはプライドが傷ついて、という人も多いと思いますが、ある種の自信のなさというか、一抹の不安もあるがゆえに相手の主張を全否定するという極端な反応になるのではないか、とも感じます。

たとえば有名なYouTuberの少年革命家が学校に通う人をことさらディスるのは、そうでもして自分の考えを強く主張しないと自尊心が保てないのに似ているような印象です(相手を下げれば自分が上がるというカン違いも同様に、それで溜飲を下げたいのです)。

Next: 気持ちをぐっと抑えて、冷静に「リスク」を検討すること

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