岸田首相と電話協議
新大統領に当選したユン氏は、最初に電話会談をする相手として米国を選び、その次が日本だった。これだけでも「用日」しようという魂胆が見え見えである。
国民の力は11日、「尹錫悦次期大統領と岸田首相が午前10時30分から15分間電話で協議し、韓日関係改善および北朝鮮核問題での協力で意見を共にした」と発表。
岸田首相のほうも尹次期大統領と電話協議をしたあと、記者らに「日韓関係改善のために共に協力していくことで合意した」「できるだけ早く対面で首脳会談をしようという話もした」「健全な日韓関係と日米韓3カ国の協力が世界の平和・安定・繁栄を確保する上で不可欠であることを強調した」「尹次期大統領のリーダーシップに期待をすると伝えた」と述べている。
まあ、上の文章を読めば、なんとか米国や日本へすり寄ろうとしているように見えるが、こんなのに岸田総理は騙されないで欲しい。
首脳会談をするのが目的ではないだろう。日韓関係を修復したければ、日本が出した宿題を韓国がすれば良いだけの話。徴用工問題と日韓慰安婦合意の事実上の破棄だ。
しかし、この2つをユン氏が解決してくれるとは私は考えてない。
なぜなら、薄氷の勝利ということは、ユン氏の味方は半分程度であること。さらに、少数与党という事実が重くのしかってくる。
少数与党でキャスティングボードは旧与党が握る構図
ユン氏がどれだけ何かをしようとしても、国会での勢力図は少数与党と決まっている。国会の300議席のうち、左派系「共に民主党」が172議席を持ち、ユン氏が所属する保守系「国民の力」は110議席しかない。
つまり、キャスティングボードを握っているのは旧与党であって、新与党ではない。公約を実現させるためには結局、「共に民主党」の議員とやっていく必要がある。
では、ユン氏の公約その他はどうなるのか。それは、何も決まらないということだ。
例えば、ユン氏はTHAADの追加配備について前向きだが、これを中国に逆らえない野党議員が賛成するはずもない。もちろん、クアッド参加などに動いても、議会で反対されては元も子もない。
日本の徴用工問題だって同じことである。大統領に権力があっても、法案を成立させるのは議会の力がいる。そして、有権者の半分はユン氏の味方ではない。
保守の大統領が誕生しても、韓国が保守化したわけではない。保守化するには、次の選挙で与党が大勝しないといけない。
だが、政治素人・経済ド素人であるユン氏が、現状の「絶望しかない」韓国経済を立て直すことなどあり得ない。
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