「地震が起きたら電気が止まる」
実はすでに地震が起こった直後に、首都圏でも約210万戸の停電が起こっている。
現在の電力供給システムは、大規模ブラックアウトが起きないように安全システムが作動し、事前に供給先の一部を停電させて電力需給を調整するようになっている。
地震直後は火力発電所12基、水力発電所24か所が一時的に停止したので、システムが判断して電力供給を停止したわけである。東京電力と東北電力は送配電網が繋がっており、一体で需給調整されている。よって東北地区での電力供給不足が発生したことで、東電管内でも停電が発生した)。
停電は予備電源の稼働によって、早期に回復したが、前述のとおり2つの火力発電所で一部稼働できていない施設があり、電力供給が不足するという事態に陥っている。
今回の事態が夏場や冬場の電力ピーク時に起こっていたとすると、懸念ではなく本当に大規模ブラックアウトが発生したのではないかと、恐ろしさを感じる。
地震が起こった時に、電力供給が大規模で止まらないような仕組み、もしくは早期に施設を稼働できるような対策が必要であることは言うまでもない。
しかし天災は往々にして予期せぬ規模で起こるものだし、完全な対策はない。
そうすると一番の対策は配給予備率の水準を高めるような施策を行うしかないということになるが、それには需要を減らす節電と、電力供給を増やすための発電施設の増強しかない。
代替発電が見つかるまでは原発止むなし
筆者は原発について決して前向きではないが、他の代替発電手段が見つかるまでは止むなしという考えを持っている(ここで言う代替手段とは決して再生可能エネルギーのことではない。現時点で再生可能エネルギーはベースロード電源にはなり得ない)。
また石炭火力についても、日本は発電効率面でも世界でも指折りの石炭火力の技術を有しており、CO2の再利用という「カーボンリサイクル」についても日本は世界に先行している。
石炭火力を止めるというのは愚策であると思う。