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教員への“やりがい搾取”にピリオド?中学部活「民間委託」を進める動きも、広がる「暴行&性犯罪」増加の危惧

スポーツ庁が主導する公立中学校の運動部活動改革において、休日の部活動指導を地域の民間スポーツ団体などに委ねる、いわゆる「民間委託」を今後進めていく計画だと判明し、SNS上では様々な反応が飛び交っている。

報道によると、これらの計画は少子化で危機に陥っている部活動の存続、さらに土・日曜や祝日も指導に携わっている顧問教員らの負担軽減が狙いだとのこと。地域のスポーツクラブなどが学校に指導者を派遣、あるいは校外の練習拠点に生徒を集めたりする形を目指すといい、すでに一部のモデル校では移行が始まっているという。

いっぽうで、民間委託への移行によって、これまでの部費にくわえて新たな負担が発生するため、施設利用料の減免、経済的に困窮する家庭への補助、企業の寄付などの解決案を示す予定だという。

“やりがい搾取”で成り立っていた部活動

学校現場において近年、かなり深刻な事態になっているという教員の人手不足。文科省が昨年度初めて行った全国調査によれば、4月の始業日の時点で公立の小中学校や高校などで、合わせて2558人の教員不足が明らかになったという。

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その原因のひとつとされているのが、教員たちの労働環境の劣悪ぶりだ。とにかく激務なうえに薄給であることは度々話題になっているが、平日の授業にくわえて運動部などの部活顧問を担当した日には、休日も練習や遠征などの引率で潰れてしまい、いっぽうでその対価は、公立校の教員の場合だと“雀の涙”程度の手当しか貰えないというのだ。

このように普通の感覚だと「割に合わない」「やってられない」といったところの教員という職業、ひいては部活動顧問という役回りなのだが、これがなぜ成り立っているのかといえば、同僚教員間での同調圧力もさることながら、いわゆる“やりがい搾取”によるところが大きいようなのだ。

このような状況なだけに、今回ようやく話が進み始めた部活動の民間委託に対しては、「きっとね、先生も疲れてるんだよ」「無賃労働の指導で教員が病むのは避けたい」などと、おおむね肯定的な意見が多い印象だ。

問われる外部コーチの“教育的倫理観”

実際、部活動で生徒に指導するにしても、顧問教員に競技歴がまったくないといったケースもよくあるが、民間委託となれば各競技に通じた外部の指導者に教えてもらう機会が多くなるのでは……といったメリットもありそう。

ただその反面で、一部からあがっているのが、それらの委託先の外部コーチのなかには“教育的倫理観”を持ち合わせいない人物も多く含まれているのではないか……といった声だ。

現に最近では、熊本県内の私立秀岳館高校サッカー部であったコーチによる暴行沙汰が世間を騒がせているように、部活動の場がそういった暴力の温床となりやすいのは確か。さらに暴力以外では、部活指導者が生徒にわいせつ行為を働いて……といった話も、依然として後を絶たない状況だ。

教員免許を持ち一応は“教育的倫理観”を兼ね備えているとされる人間でも、生徒への暴力やわいせつ行為をやらかす者はいるのだから、教育者でもない外部コーチが部活動に関わるようになれば、そういった事態もさらに増えるのでは……。SNS上でも、そういった可能性を懸念する声が少なからずあがっているわけだが、それも無理もないところだろう。

Next: “部活廃止”を求める声も多い

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