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業績不振「無印良品」は中国と一緒に沈むのか?株価下落に3つの要因、長期投資家が注目する“2030年計画”も=栫井駿介

そして、もう1つ見逃せない点があります。下記の表の一番下の欄「人件費」が前年同期比で35億円(約13%)の増加となっています。

良品計画が不振に陥った3つ目の理由は、「人件費の増加」です。

人件費増加の主な理由は賞与の増加と前期計上したコロナ助成金の影響とのことですが、「人材育成にお金をかける」ということは今後の大きなポイントになります。

ここまでまとめると、「22年上期業績は厳しく、通期の見通しも下方修正」となりました。

その理由は、次の3つです。
1. 国内衣類・雑貨の不振と在庫処分のための値下げ
2. 東アジア(中国)の不振
3. 人件費の増加 

堂前社長が見据える2030年の無印良品

大変きびしい状況ですが、良品計画の経営者は何を見ているのでしょうか?

良品計画の代表取締役社長は、堂前宣夫さんです。マッキンゼーでキャリアをスタート、その後ファーストリテイリングへ入社し、現在は良品計画の経営改革に取り組んでいる最中です。

堂前社長の2030年までの目標は、前期21年8月期の決算資料に記載されていて、「自立した店長を育成する。自律的な組織風土をつくる」、そして「今期はまず、採用・育成を強化し、人材・組織をプロ化します」と発表しています。

先ほど、業績不振の理由の1つに人件費増加を挙げました。経営方針を見ると、思惑通りに費用を使っているとも考えられます。

さらに堂前社長は「全国津々浦々にむけて、出店加速。年純増100店舗の力を身につける。生活の基本を支える基本商品を完璧に完成する」としています。

つまり、「2030年までに全国津々浦々で私たちの生活の基本の存在となる」ことを目標にしています。具体的な策として、スーパー隣接店を展開するという案があります。

前述の無印商品が取り扱う3種の商品を見て、「食品は買ったことがあるな」と思った方は多いのではないでしょうか?

現状、衣類は不調ですが、食品は好調です。2030年にはスーパーの隣に無印良品が出店し、日々のおかずに無印のカレーが並ぶかもしれません(私も食べましたが、マトンのカレーが美味しかったです)。

店舗拡大に必要なのは「人材育成」

ただし、小売業では店舗拡大をする際に必ず必要なものがあります。それは「店長」です。

直近の決算では、厳しい状況であることは確かです。さらに店舗拡大と人材育成を同時に行うことは困難を極めます。

それでは、無印良品はこのまま終わってしまうのでしょうか?

無印良品の最大の強みは「ムジラー」とも呼ばれる根強いファンです。アンチブランドというブランドを愛する人たちが全国へ広がる……そんな世界を見ている事業計画だと思います。

Next: 良品計画は「買い」?長期投資家はどう判断すべきか

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