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ファーウェイ復活か。米国に「消された」スマホ事業で反撃の狼煙、独自OSでiPhoneを時代遅れにする可能性=牧野武文

制裁前から準備していた独自OS

実は、ハーモニーOSの起源は、2012年まで遡ります。ファーウェイがスマホ事業に本格参入をする時、「独自OSを開発する」か「Androidを採用するか」で議論がありました。最終的に、海外販売を考えAndroidを採用することになりましたが、独自OSも研究プロジェクトとして継続されました。そして、2017年にはカーネル(中核部分)の技術検証が行われ、2018年には基本的な技術検証は済んでいたのです。

2018年12月に、米中貿易摩擦に絡んで、ファーウェイの孟晩舟CFOがカナダで逮捕されるという事態になり、ファーウェイ排除が本格化をした時、おそらくファーウェイはAndroidの供給停止という事態も想定しただろうと思います。プランBであった独自OSが浮上をしてきて、2019年5月には「ハーモニーOS」の商標登録を申請しています。そして、GMSの供給停止が起こると、プランBを出してきたのです。

ファーウェイは、むしろハーモニーOSがあったから、スマホ事業を放棄しなかったのではないでしょうか。もし、このプランBがなければ、チップもGMSも手に入らない状況で戦うことは無理です。

業界関係者によると、中国でスマホ事業を維持するには16%以上のシェアが必要だとよく言います。この数字は理論的なものではなく、経験から生まれた数値なのだと思います。確かにvivo、OPPOは16%以上で推移をしてきています。シャオミはなかなか16%の壁を破ることができていませんが、スマホ以外に家電製品との連携があります。

ファーウェイにとって、海外でのセールスはしばらくの間断念するしかありません。だったら、ハーモニーOSで中国市場で16%を確保し、それから海外戦略を描き直すというゼロからの挑戦を始めたのではないでしょうか。

「ハーモニーOS」の実力は?

▼ハーモニーOSの公式サイト。ハーモニーOSの機能、デザインなどが紹介されている。
https://consumer.huawei.com/cn/harmonyos/

ハーモニーOSの最大の特徴は、「1+8+N」という言葉で表現されています。さまざまなデバイスに搭載することが可能なOSなのです。「1」はスマホで、あらゆる機器のコントロールセンターになります。8は「「PC」「タブレット」「スマートウォッチ」「スマートスピーカー」「スマートディスプレイ」「ワイヤレスイヤホン」「AR/VRグラス」「車載ディスプレイ」のことです。そして、Nは無数のIoT機器です。

実際は、まったく同じOSを異なるデバイスに搭載することはできないので、ハーモニーOSにはL0からL5までのクラス規格が用意されています。メモリサイズなどデバイスの仕様に合わせて適した規格のハーモニーOSを搭載することができます。

また、実質的にオープンソース化されているのも特徴です。開放原子開源基金(オープンアトムファウンデーション)を設立し、ファーウェイが開発したハーモニーOSをこの団体に渡し、事実上のオープンソース化を進めています。参加企業はハーモニーOSを改変して、自由に自社製品に搭載することができるわけです。

こうして、ハーモニーOSのエコシステムを構築していこうとしています。ファーウェイは「2021年中に3億台突破」という目標を掲げていましたが、2021年末にスマホが2.2億台、IoT機器が1億台を突破し、目標をクリアしています。

同じOSがさまざまなデバイスに搭載される最大のメリットは、デバイス間の連携です。

こんな例があります。ある男性がスマホで動画を楽しんでいます。家人が寝ているため、ワイヤレスイヤホンを使っています。しかし、大画面でテレビで楽しみたいと思い、動画画面を指でテレビアイコンの上に重ねて、ドロップします。すると、動画がテレビに移って、なおかつイヤホンはテレビに自動的に接続されるのです。

もうひとつの例がジムのトレーニングマシンです。ランニングマシンを使う前に、スマホをマシンにタッチさせます。すると、NFC(近距離無線通信)経由で一時的なペアリングが行われ、スマホに記録されているヘルスケアデータが渡されます。マシンはそれを元に最適なトレーニングプログラムを提案し、トレーニング中のヘルスデータをスマホに戻します。その場を離れると自動的にペアリングが解除され、プライバシーデータは消去されというものです。

また、PCでワープロで書類をつくっていて、出かける時にウィンドウをタブレットアイコンに送ると、タブレットで仕事の続きができます。デバイスのペアリングもタッチをするだけでNFC経由で連携できるという簡単さです。これは、そういう世界が実現されますという話ではなく、対応機器間ですでに実現されている事例なのです。

似たような機能は、アップルもAirPlay、ユニバーサルコントロールで実現をしようとしていますが、連携ができるのはアップルデバイスのみです。しかし、ファーウェイの場合は、ファーウェイのデバイスだけでなく、オープンソースのハーモニーOSを使って、家電メーカーなどがハーモニーOSを搭載または対応をすることができるので、連携できるデバイスが大きく広がる可能性があります。

グーグルもFuchsia(フクシア)というOSを開発中で、組み込みからPCまではばい広いデバイスで動作することが可能になると言いますから、同様の連携を考えているのかもしれません。

ある意味、ハーモニーOSは、アップルやグーグルの一歩先の世界を実現してしまっているのです。

Next: 課題は山積。ハーモニーOSは他メーカーを巻き込んで成長できるか?

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