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まじめに節電しちゃう国民が悪い?脱炭素と政府の甘えで「電力不足」が日本の“持病”に。脆弱なエネルギー政策が日本経済を破壊する=澤田聖陽

今夏も電力不足が懸念されており、萩生田経産相が「テレビなど、1つの部屋に集まって見て」と発言したことが話題となっている。そろそろ、エネルギー政策の失敗を棚上げして国民に節電をお願いする政府と、真面目に節電してしまう国民は行動を改めなければならない。省エネ自体は良いことだし、日本人の省エネ意識の高さも素晴らしいことではあると思うが、これによって問題の本質から目を逸らされてしまうという負の側面もあることは認識すべきだ。(『元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」』澤田聖陽)

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※本記事は有料メルマガ『元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」』2022年5月31日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

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萩生田経産相の「節電」要請に賛否噴出

この夏に電力逼迫の可能性があることに対して、萩生田経産相が下記のような発言したことが話題を呼んでいる。

「ご家族でですね、この夏場、部屋別れてエアコンを使うのではなくて、テレビなど、一つの部屋に集まって見ていただくような、そこがちょっとずつの試みをしていただくことで、乗り越えて頂けると思いますのでご協力をお願いしたいと思います」。

この発言に対する反応は、総じてネガティブなものが多いように思う。

このような無理な節電対策を自国民にお願いしなければいけない状況に陥った、政府のエネルギー政策に問題があることは間違いない。

日本人の省エネ意識の高さが、逆に大きな問題を生む

日本人は総じて省エネ意識が高く、真面目であるため、このように政府が省エネの呼びかけを行えば、それに応えてしまうだろう。

省エネ自体は良いことだし、日本人の省エネ意識の高さも素晴らしいことではあると思うが、これによって問題の本質から目を逸らされてしまうという負の側面もあることは認識しなければならない。

特に省エネで何とかこの夏を何とか乗り切れた時に、「省エネすれば乗り切れるじゃないか」という風潮になってしまうのは、大変問題があると言わざるを得ない。

省エネをすることと、電力逼迫の懸念がある状況に陥っている原因を究明し解決することは全く別の話であり、完全に分けて考える必要がある。

言うまでもなく、電力が逼迫する状況とは電力需要に対して電力供給が適切ではない状況である。

以前に筆者のメルマガでも書いたが、電力については「需給バランス」が重要である。

電力は基本的に貯めておくことが出来ないので(蓄電池などによって一時的に貯めておくことはできるが)、何かトラブルがあった時を想定して、発電できる最大量は想定される需要に対して若干余裕を持たせる必要がある。

この余裕の部分を「供給予備率」、もしくは単に「予備率」と言う。

電力の周波数を安定的に維持するには、最低でも予備率3%が必要である。

資源エネルギー庁が4月26日に発表した「2022年度の電力需給対策について」によると、今年の夏が10年に1度の猛暑になった場合、東北・東京・中部電力のエリアでは7月に予備率が3.1%となると予想されている。

なお冬はもっと厳しく、10年に1度の極寒となった場合、今のままでは北海道、東北、沖縄を除く電力会社の管轄で、1月、2月に予備率が3%を大きく割り込むと予想されている(筆者注:10年に一度の猛暑、極寒での最大電力需要を「厳気象H1需要」という)。

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