QEをやめてQTも始めた米国では、まともに米国債を買うのは日本だけのお寒い状況
足もとの米国債市場はロシアが購入を中止、中国も購入激減で、実はQEを続けてきたFRBこそがもっとも大きな買い手となっていました。
しかし量的緩和の巻き戻しでほどなくしてQEは修了、逆にQTとしてFRBは米国債を含む資産の売却を今月から開始して、この先、そのボリュームはさらに大きくなろうとしています。
そんな状況ですから、もはやお得意様は日本政府か日本の機関投資家筋ぐらいしか存在しません。
ここで日銀に政策金利上げなどをされてしまっては「商売あがったり」になります。
そのゆえに米国こそが緩和継続を強く日本に要請してきているのでは?という見方が出るのは、よくわかる状況です。
実際バーナンキ時代のFRBが出口に向おうとしたときも、日本とECBが緩和で支えるという不思議な構図があからさまになったことがあります。
米国にとっては、日本は極めて都合のいい利用度の高い存在であることを思うと、米国こそが日本に緩和継続の圧力をかけているというのも単なる陰謀論とは思えない節があります。
しかも、黒田総裁の確信犯的な発言を聞くにつけ、これはどこかの誰かにそうするように言われてやっているのでは?と疑う向きが多くなるのも事実です。
新しい資本主義もアベノミクスの上書きでインフレ下のMMT実行に突入
さらに先ごろ発表された岸田政権の「骨太の方針」も、財政健全化は大きく後退し、事実上アベノミクスを継承するかのような内容に収まってしまっています。
平たく言えば、インフレ下でさらにMMT理論を実践しようとするようなもの。ですから、日銀の金融緩和がやめられないのは当たり前で、ここからも延々と日銀は政府政権の事実上の財政ファイナンスを続けて行くことになるのは規定路線となっているようです。
こうした岸田首相の凄まじい宗旨替えというのも、安倍元総理からの強烈な要請のみならず、米国からの緩和継続圧力により修正を余儀なくされているものだと見ると非常に納得しやすいものがあります。