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中国経済は「地獄の一丁目」住宅バブル崩壊が直撃。泡と消えた習近平“世界覇権”の夢=勝又壽良

歪な中国経済の下では、何年経っても国民は救われない

中国は強権政治だ。共産党独裁下で、かつ習近平氏という稀代の野望家が権力に座にある以上、その後遺症は日本以上と見られる。具体的には、次のようなインフラ投資への過度な依存を続けている。

中国は、インフラ支出のための7兆2000億元(約148兆円)規模の資金を準備している。ロックダウンで疲弊する経済を支えるため、これまでの債務抑制方針を捨てて、積極投資政策へ転換することになった。2022年のインフラ投資は、前年比7.7%も増えると、米シティグループが試算している。

IMF(国際通貨基金)は7月14日「脆弱な家計に焦点が当てられれば、財政政策による支援は効果をもたらす」とインフラ投資よりも家計への支援重視を訴えている。中国のコアインフレ率が低水準にあることを踏まえると、金融政策を通した支援を継続する必要があると指摘する。

IMFによる中国政府へのアドバイスは、一貫している。1月には、消費の弱さと不動産投資低迷が、今年の成長の重石になるとしていた。現実は、その通りの動きである。インフラ投資よりも、困窮する家計への支援が即効性の面でも重要である、としたのだ。米国は、家計支援に力点を置いた。

個人消費のGDPに占める比率は、おおよそ中国4割、韓国5割、日本6割、米国7割である。中国の4割は低すぎるのだが、それはインフラ投資へ資源を配分し過ぎている結果である。中国は、この歪な状態をさらに歪にしようとしている。経済成長への即効性を期待している結果だ。

こうして、何年経っても中国の国民は救われない経済システム下に放置されている。中国共産党は、国民生活よりも国威発揚に全力を挙げる政治である。中国経済は、長期的に不安定化することを認識せずに過ごしているのである。

住宅バブル終焉を知らず

住宅販売不振は、深刻な度合いを深めている。既述の通り、主要70都市の住宅価格は、この6月で10ヶ月連続の低下である。中国国家統計局発表のデータだ。ロックダウンの一時的な影響だけで片付けられない事態へ突入している。

住宅建築には、鉄鋼・非鉄・セメントの各産業が関係する。これらを含めると、中国の住宅産業がGDPに寄与する貢献度は、25~30%と推計されている。住宅産業が、中国経済において大きなウエイトを占めることは間違いない。

その住宅販売で現在、回復の兆しはほとんど見えない状態である。3級都市では、マンション販売の頭金として、農家に対してトマトやスイカを認める奇策に出ているほどだ。スイカは50トンで1軒の頭金になるという。いかに、住宅が売れないかを例証する話である。

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