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クールジャパン赤字309億円超、薄給アニメーターを差し置いて誰が税金で潤った?結局は“天下り先”を作っただけで統廃合へ=原彰宏

末端アニメーターの救済はどうなった?

海外にアニメやラーメンといったものを海外イベントなどで広く紹介する一方で、日本国内のアニメ現場などの資金が必要な場所にお金が流れていないとか、クリエイターに恩恵がないなどの指摘がなされていてと前述しました。

お金が落ちたのは末端のアニメーターではなく、大手広告代理店やコンサルだったということもあり、そのお金の使い方が果たして日本産業のためになっていたのかという疑問は残ります。

世界に日本の文化を広める「クールジャパン構想」は、結局は「観光立国」を目指すという方向で、その形を変えていくのではないのでしょうかね。

あくまでも「私見」ですが、それが、万博であったりIR事業だったりしてね。

ネットでは「クールジャパン機構」設立に関して、こんな文言があります。「小泉政権から始まっていたが、安倍政権になって理想的な日本人をつくり出そうとした」。戦後レジームからの脱却を全面に出して発足した第一次安倍政権が、真っ先に取り組んだのが戦後教育の見直しともなる教育基本法の改定でした。このことと「クールジャパン構想」を結びつけるのには無理があるかもしれませんが、ネット上にあるセリフ“理想的な日本人”というところ、日本人に“誇り”を取り戻そうというのが日本文化の世界輸出であるのか、それがアニメでありラーメンなのかと、穿った見方をしてしまいます。

クールジャパン機構ホームページに、直近の投資案件が紹介されています。
https://www.cj-fund.co.jp/files/press_221114-jp.pdf

ベトナムとカンボジアで日本食材も活用したジャパニーズイタリアンレストランチェーン「Pizza 4P‘s」を経営する「4P’s Holdings(シンガポール)」に約1,000万ドル出資すると発表したものです。

「4P’s」は益子陽介氏と高杉早苗氏が2011年に設立した。ベトナムとカンボジアで和とイタリアンを融合させたレストランを現在28店舗運営、チーズ工房と2つのセントラルキッチンを持ち、自社製造の冷凍食品やチーズを5つ星レストランやホテル、高級スーパー、E コマースを通じて販売するリテール商品事業も手がけています。

こんな所に出資しているのですね。

また、日本発の発芽大豆由来の植物肉原料の世界展開を企図するフードテック・スタートアップ企業DAIZ社へ20億円の出資を決定したともあります。
https://www.cj-fund.co.jp/files/press_221028-jp.pdf

繰り返しますが、クールジャパン機構は「日本の魅力」を事業化し、海外需要の獲得につなげるため、「メディア・コンテンツ」「食・サービス」「ファッション・ライフスタイル」「インバウンド」をはじめとする様々な分野でリスクマネーを供給するものでした。

これまでの「クールジャパン機構」の投資先事例をホームページで見ることができます。
https://www.cj-fund.co.jp/investment/deal_list/

民間がやらないことを国がやるという主旨はわかります。だから、投資の失敗にも意味があると機構側は言っていますが、失敗したお金は国民が納めた税金なのですから、失敗した詳細なり情報開示は、絶対に必要です。

「期待値と目先の数字」という観点は、たしかに難しい部分ではありますが、大事なのは「情報公開」です。正直に現状を伝えることです。

くれぐれも黒塗りの“のり弁状態”だけはやめて欲しいものです。

Next: クールジャパンをめぐって経済産業省と財務省がバトル?思惑は…

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