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2023年、ウクライナはもっと悲惨に。2月に迫るロシア全面攻勢で第3次世界大戦に突入か=高島康司

米政府高官のニュースウィークの記事

ロシア軍の全面攻撃の可能性を示唆する米政府の高官の意見は、「ニュースウィーク」にも掲載された。それは、「アメリカの南北戦争から学ぶ、ウクライナが勝てない理由」という意見記事だ。元在サウジアラビア米国大使館首席公使のデビッド・H・ランデルと、元米国中央軍政治顧問で、東欧と旧ソ連に15年間駐在した経験のあるマイケル・グフェラーの連名記事だ。

それは、アメリカの南北戦争の歴史を見ると、ロシアの勝利は予見できるとした記事だ。

アメリカの南北戦争の初期、エイブラハム・リンカーン大統領は、彼がまだ同胞とみなし、和解を求めていた人々に対して、限定的な紛争を求めていた。3年間の膠着状態の後、リンカーンはウィリアム・テカムセ・シャーマン将軍を解き放ち、戦争を決定的な暴力で終結させる決定をした。

一方、ロシアのプーチン大統領は、ウクライナに対して特別軍事作戦から本格的な戦争に切り替えるまで、わずか6カ月しか待っていなかった。プーチンの最初の攻撃は、かろうじて15万人の軍隊に限定されたものだった。プーチンは、迅速な勝利の後、主要な懸念事項に関する交渉が行われることを期待していた。クリミアの支配、ウクライナの中立、ドンバス地方のロシア系住民の自治といった、プーチンの主要な関心事についての交渉が行われると考えていたが、それは間違いだった。

プーチンは、ウクライナの抵抗も、欧米の大規模な軍事・経済介入も想定していなかった。プーチンは新たな状況に直面し、戦略を変更した。今、プーチンはシャーマン将軍を解き放ち、ウクライナを殲滅させようとしている。つまり、これからロシアによるウクライナの無条件降伏を目指す全面攻勢が始まるということだ。

欧米のさらなる武器支援

ちょうどウクライナからのさらなる武器支援の要求に呼応するタイミングで、イギリス国防省は支援の一環として、精密誘導ミサイル「ブリムストーン2」をすでに供与していることを明らかにした。この支援は、ロシアの進攻を食い止めるために重要な役割を果たしたとしている。

イギリスは、4月からすでにウクライナに「ブリムストーン2」ミサイルを供給している。イギリス国防省は、画像に基づいて非公式に主張されていたことを公式に確認し、ウクライナは、最新で大幅に性能が向上した「ブリムストーン2」を受け取っていることを明らかにした。

「ブリムストーン2」では、以前のモデルと比べて大きな改良がなされている。1つは射程距離である。ホバリングしているヘリコプターから12km、航空機から20kmである。

そしてもうひとつは、ミリ波(MMW)誘導だ。ミリ波は細かいところまで見通すことができる。戦車のような金属製の物体には強いミリ波信号が出るからだ。ミリ波レーダーシーカーにより、「ブリムストーン2」は目視範囲をはるかに超えたところから、指定された射程内の標的の位置を特定し、識別することができるようになった。

また、「ブリムストン2」を一斉発射し、数発のミサイルがそれぞれ個別のターゲットを見つけることができるようになった。例えば、司令車を最初に狙い、次に戦車やその他の装甲車、トラックを最後に狙うなどというように。

ウクライナの要請に応じて、このような精密誘導兵器の支援は、さらにこれからも続くことは間違いない。元CIA長官で米中央軍の司令官だったペトレイアス将軍は、「FOXニュース」とのインタビューで、「国防権限法(NDAA)」に含まれるべき最優先事項について語り、ウクライナへの支援が含まれるべきだとした

ペトレイアス大将は、アメリカはすでにウクライナに「驚異的な量の」援助を与えており、過去1年間の武器・兵器援助は総額190億ドル以上、経済援助は130億ドルにのぼると述べた。そして、ウクライナはその支援を有効に活用し、「ロシアの3分の1以下の国土で、ロシアのような鉱物資源などの恵みはないにもかかわらず、ロシアよりも大きく、能力の高い軍隊を持つに至った。この状況は不可逆的で、プーチンやロシアにはどうすることもできないと思うという。

さらにペトレイアスは、ロシアがウクライナで戦争をする中で、世界の舞台でリードするアメリカの「意志」が特に重要であると強調した。

これは、アメリカは威信をかけてウクライナを支援するという意味である。ということでは、これからウクライナには、ロシア国内を標的にできる射程距離の長い精密誘導兵器がアメリカから供与される可能性が高いことを示唆している。

Next: 2023年には一層激化?和平を模索する提案も出ているが…

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